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先カンブリア時代とは?どういう時代だったか?

前回までは、今から約30億年前にシアノバクテリアが誕生し、生物由来の酸素が初めて登場したところまで述べた。

しかし30億年前という数字は先カンブリア時代はまだ折り返し地点ですらない。

今回はシアノバクテリア誕生後の残りの先カンブリア時代を俯瞰しよう。

 

※前回から続いています

inarikue.hatenablog.com

 

目次

 

先カンブリア時代とは?

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先カンブリア時代とは、地球が誕生した46億年前から、地球史上最初の生物の大絶滅がある5.4億年前までのおよそ40億年間をいう。

 

まだまだ浅い人類の歴史

私たち人類の祖先である新人(ホモ・サピエンス)が登場したのは約20万年前であり、地球の歴史のほとんどが先カンブリア時代である。

 

世界最古のヒト科につながる猿人(サヘラントロプス)の登場は約700年前とされているが、それでも40億年という時代の長さは圧倒的である。

 

酸素は作られたが・・・

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自ら酸素を生み出した最初の生物であるシアノバクテリアは、30億年前にようやく登場した。

しかし、シアノバクテリアによって作られた酸素は、すぐに他の生物が利用できたわけではなかった

 

その理由は生成された酸素が、海水に豊富に含まれる鉄分と次々に化合して酸化鉄になったからである。

 

この証拠は、30億年という地層年代を境に、世界各地で酸化鉄の鉄鋼層(縞状鉄鋼層と呼ばれる)が見つかっていることからも確かだ。

 

それから長い年月が経ち、海水の鉄分と化合しきると、ようやく生物たちが利用できる分が出てくる。

 

そして地球上で初めて酸素を利用した生物である好気性細菌が20億年前に誕生した。

 

酸素が生成されてから、生物が利用できるくらいになるまで、なんと10億年かかっている。

 

原核生物から真核生物へ

上記で述べたシアノバクテリアや好気性細菌も含め、初期の生物たちは皆原核生物だった。

 

原核生物とは、細胞に核を持たない生物である。

一方で真核生物は細胞内にさらにという器官を持ち、その中にDNAを収容している。

 

※真核生物と原核生物生物に関しては以下も参考にしてください

inarikue.hatenablog.com

 


 

当時、原核生物は他の原核生物を捕食したりもしていた。

好気性細菌もときには捕食したり、ときには捕食されながら生活していたが、他の原核生物に取り込まれた好気性細菌がいた。

 

これが現在の細胞内の重要器官であるミトコンドリアの始まりであり、動物細胞の原型と言われている。

 

捕食のために取り込んだものが偶然そうなったのか、あるいは何らかの意図をもって取り込んだのかは不明である。

 

ミトコンドリアは今では細胞内のただの器官だけれど、元は独立した全く別の生き物だったと言われているよ。

 

さらに欲張りなことに好気性細菌と共生した原核生物(動物細胞の原型)の中には、シアノバクテリアをも取り込んで共生させたものがいた

 

この取り込まれたシアノバクテリアが後の葉緑体であり、これが植物細胞の原型と言われている。

 

また、好気性細菌やシアノバクテリアを取り込んだ原核生物は、取り込んだものから自らのDNAを守るために、を張ってDNAを囲ったと言われている。

 

これがの始まりであり、真核生物の誕生である。

 

多細胞生物の登場

原核生物である好気性細菌が登場し、真核生物が登場し、その10億年後に多細胞生物が出現する。

 

真核生物は好気性細菌を取り込み、核を持ち、さらに進化していった。

より多様なタンパク質を作れるようになり、その様々なタンパク質から色々なタイプの細胞を作るようになった。

 

ところで、真核生物の中には集まってくっついたりしたものがいた

 

最初は個々の生物が集まってただくっついていただけだったが、次第に自分は1つの機能に特化してあとは他のものに任せるといった役割分担をするやつが出てきた

 

1つの機能に特化してしまえば、自分を補ってくれる別の機能を持ったものと一緒にいないと生きることができなくなる。

 

そして、ますます多くのものがくっついて切っても切れなくなり、それで1つの生物になる。

 

多細胞生物の出現である。

 

多細胞生物の出現により、ここから生物の進化や多様化のスピードが加速度的に早くなっていく。

 

エディアカラ生物群の隆盛と大絶滅

natgeo.nikkeibp.co.jp

多細胞生物が出現し、生物は一気にその多様性を増していく。

そして先カンブリア時代後半にはエディアカラ生物群という生物たちが出現した。

 

この生物たちは体の形などが今の生物とはだいぶ変わっており、現存の生物で似ているものがほとんどいない

彼らに共通なのが硬い骨格を持たず、体が柔らかい生物たちらしい。

 

今までは細菌とか人間の肉眼では見えないような生物ばかりだったけれど、クラゲやイソギンチャクみたいなのが登場したよ!

 

これらの生物は6億年前の地層から見つかっている。

多細胞生物登場からわずか4億年で、生物が一気に多様化している。

 

生物が酸素を利用できるようになるまで10億年かかっているが、その半分の時間で一気に多様化が進んでいる。

 

生物の大絶滅

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今から5.4億年ほど前、地球史上で初の生物の大絶滅が起こる。

地球上の生物大絶滅は全部で3回あり、これが初。

 

最初の大絶滅は確たる証拠はなく、分からないことも多いが大陸の分裂などに伴う火山の大噴火が原因とされている

この大量絶滅により、エディアカラ生物群の生物たちも全て絶滅してしまう。

 

そして、この大絶滅とともに先カンブリア時代は終わり、新たな時代が始まる。

 

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