原核生物と真核生物の違いは? 核とは何か?
全ての生物は必ず細胞を持っていて、その体を構成する細胞によって原核生物と真核生物の大きく2種類に分けることができる。
では、原核生物・真核生物とは何か、そして両者はどう違うのか?
今回は、具体的な生物も紹介しながら原核生物と真核生物について学んでいこう
細胞に関しては以下の記事も参考にどうぞ↓
目次
生命の誕生と原核細胞
地球に最初の生命が誕生したのが今から約38億年前。
初期に誕生した生物の細胞はだいたいこんな感じである。
このようなかたちの細胞を原核細胞といい、原核細胞をもつ生物を原核生物と呼ぶ。
なんかめちゃくちゃシンプルだね・・・。
真核生物の出現
しかし、生物が誕生してから18億年後(今から20億年前)、下図のような、細胞の中に核というものを持つ生物が誕生する。
あれ、紫色のヒモみたいなやつが何かで囲まれちゃったよ。
核を持つ細胞を真核細胞といい、真核細胞をもつ生物を真核生物という。
上図でいう赤で囲まれたものが核で、DNAは核の中に収容されている。
原核生物と真核生物の違い
両者の細胞をもう1度比べてみよう。
紫色のヒモ状のやつがDNA。
※前述の図の真核細胞は核以外の器官を省略しています。
原核細胞
核がなく、細胞内でDNAがむき出しの状態である。
真核細胞
一方で真核細胞には核があり、核の中にDNAが収容されている。
また、真核細胞には核の他にも器官(正式には細胞小器官という)が見られる。
以下に簡単にまとめてみた。
真核生物・原核生物の例
初めて地球に誕生した生物たちは、全て原核生物であった。
真核生物は原核生物から進化したものだが、両者ともに現在に至るまで絶滅せずに生き残っている。
では、これらの生物には具体的にどのようなものがいるのだろうか。
真核生物
真核生物に該当するのは我々人間動物や、植物などである。
キノコも、クラゲも、ヒトデも、ウニも、雑草も、全て真核生物である。
ゾウリムシやミジンコだって真核生物である。
つまり哺乳類、鳥類、魚類などの一般的な動物や、種子植物やシダ植物などの植物は、全て真核生物に分類される。
身近というか、馴染みのある生き物たちの多くが真核生物だね!
原核生物
原核生物に分類されるのは、大腸菌、納豆菌、黄色ブドウ球菌などの細菌類や、シアノバクテリアである。
原核生物は全て単細胞生物であることが知られており、原核生物でありながら多細胞生物である生物は存在しない。
さらに、原核生物は細胞の外に細胞壁というものを持っており、これは真核生物では植物の細胞にのみ見られるものである。
核
核の役割は、細胞の形を決めたり、その細胞がどのように働くかを決定する、いわゆる司令塔である。
下図は、核のみを簡略的に拡大したものである。
核は核膜という膜で包まれており、所々に隙間が空いている。
この核膜の隙間を通して、外部との物質のやりとりをしている。
さらに核膜は細胞膜と同じ成分でできており、細胞膜と同じ成分をした膜が二重に存在するという二重膜構造をとっている。
ちなみに上図の核の絵の中にある赤い丸は核小体と呼ばれる。
核小体はリボソームRNA(rRNA)という物質を作っている。
↓翻訳については以下の2記事が参考になると思います。
核とDNA
原核細胞ではDNAは細胞内でむき出しのまま、細胞内を浮遊しているような感じであったが、真核細胞では核に厳重に包まれている。
そして核の中のDNAはそのままの形で存在しているのではなく、タンパク質と結合した状態で存在し、それを染色体と呼ぶ。
実は核は色素を持っておらず、実際の核は透明である。
だから、核を観察するときは酢酸カーミンや酢酸オルセインなどの染色液で染めなければ見ることができない。
そしていざ核を染めると、一際目立って染まるところがある。
それが染色体であり、染色体という名称もその染まりやすさにちなんでつけられたものである。
まとめ
- 細胞内に核を持たず、DNAが細胞内でむき出しである細胞を原核細胞という
- 原核細胞をもつ生物を原核生物という
- 細胞内にDNAを収容した核を持ち、核以外にも細胞内に様々な小器官がある細胞を真核細胞という
- 真核細胞をもつ生物を真核生物という
- 真核生物には我々人間を含む一般的な動物や植物などが該当する
- 核の中のDNAはそのままの状態で存在しているのではなく、タンパク質と結合した染色体と呼ばれる状態で存在している