細胞膜とは何か? 原形質流動って?
私たち人間を含めた動物や植物、魚、そしてゾウリムシやミジンコも細胞に核をもつ真核生物という生き物である。
そして真核生物の細胞の中には、核以外にも様々な器官がある。
今回は、真核生物の細胞について、地味ながら外側から見ていこう。
↓以下の記事も参考にどうぞ
目次
細胞膜とは
真核生物だけではなく原核生物も含め、生物の細胞には二重層の膜があることが分かっており、これを細胞膜という。
細胞は、この細胞膜で自己と外部を仕切っている。
下図は簡単な真核細胞を書いたが、ご覧のとおり黒い太線が細胞膜である。
細胞膜は仕切りみたいなものなんだね!
細胞膜の役割
細胞膜の役割は大きく分けて3つあり、それは
- 細胞と外部を仕切ることで細胞の内部環境を一定に保つ
- 特定の物質のみを通過させることで細胞を守る
- 隣り合う細胞と情報交換を行う
である。
2番目の性質がちょっとわかりにくいので補足しておこう。
細胞膜は外部との仕切りであると同時に、外部とのやりとりを行うゲートでもある。
細胞には常に様々な物質が届けられたり、あるいはやって来たりするが、そうした物質が必ずしも細胞にとって必要なものとは限らない。
そこで、細胞膜はやってきた物質をなんでもかんでも内部に通すわけではなく、特定の物質のみを通す仕組みになっており、そうすることで細胞を守っているのである。
↓細胞膜の詳しい仕組みについては以下の記事もご覧下さい
細胞膜の構造
細胞膜は5~6nm(ナノメートル)ほどの厚さである。
これは電子顕微鏡という顕微鏡を使わなければ見ることのできない厚さである。
学校の理科室などに置いてある光学顕微鏡では見えないよ!
次に具体的な構造を見ていこう。
下図は、細胞膜の断面図であり、上が細胞の外側、下が細胞の内側である。
見てみるとまず気付くのが、リン脂質という物質が2つ並び、二重の層を形成していることだ。
冒頭で述べた"二重層の膜"とはこのことである。
ちなみにリン脂質とはその名の通り、リン酸と脂肪酸が結合したもの。
リン酸と脂肪酸はそれぞれリンを主成分、脂肪を主成分とした物質である。
リン酸は水になじみやすい性質を持ち(親水性)、一方で脂肪酸は水になじみにくい、水を弾く性質(疎水性)がある。
つまり細胞膜は、水になじみやすいリン酸と、水になじみにくい脂肪酸という相反する物質でできたリン脂質の二重層構造なのである。
脂肪は油だから水を弾いたりすることは分かるけれど、そんな水をはじく脂肪酸でできているなら物質のやりとりができなくない?
指摘の通り、実はリン脂質の部分は、内外の先端に水になじみやすいリン酸があるものの、中に脂肪酸があるので物質が出入りできないようになっている。
そこで、必要な物質はタンパク質の部分を通してのみ出入りをする。
このタンパク質は膜の中にあるので膜タンパク質と呼ばれおり、膜タンパク質はリン脂質の中を自由に移動できる。
膜タンパク質では、血液によって運ばれてきた養分が入ってきたり、逆に細胞から出た老廃物などを血中に排出したりして、物質が出入りしている。
イメージとしては、リン脂質が無数に並んだ中にタンパク質がプカプカ浮いている感じだよ!
細胞質基質
何だかめんどくさそうで難しそうな名前だが、細胞質基質は下図の薄い青い部分。
難しそうな名前の割には何もないんですけど・・・。
何もない空間のように見えるが、細胞内は水を主成分とする液体で満たされている。
これが細胞質基質であり、主に水分と酵素が混ざってできている。
人間の体は半分以上が水だったよね。それはこうやって細胞に水が多く含まれているからだよ!
細胞質基質の役割は細胞内の中のものを循環させることである。
絵からは分からないが、実は細胞の中は常に流動している。
細胞質基質が動く(流動)することによって細胞の中で循環が起こるのだ。
原形質流動
またまた難しそうな言葉が出てきたが、細胞質基質が流動することを専門用語で原形質流動という。
※原形質とは細胞膜を含めた細胞全体のことを表す。
細胞質基質は何の原動力もなく動いているわけではなく、先述の、中に含まれている酵素などの化学反応で生じたエネルギーをもとに動いている。
ちなみにこの化学反応は、生きている細胞でしか起こらない。
つまり、原形質流動が起こっているか(細胞質基質が動いているか)を観察すれば、その細胞が生きているのか、あるいは死んでいるのかを判断することができる。
まとめ
- 細胞は二重層の膜で包まれており、これを細胞膜という
- 細胞膜は細胞の内外での物質のやりとりを行い、細胞内の状態を維持する役割をしている
- 細胞膜は、リンを成分とするリン酸、脂肪を成分とする脂肪酸が結合したリン脂質とタンパク質でできている。
- 細胞内の、一見何もない空間のような部分は水を主成分とした液体で満たされており、これを細胞質基質という
- 細胞質基質は常に流動し、細胞の中のものを循環させる役割をしている
- 細胞質基質が流動することを専門用語で原形質流動と言い、この流動が起こっているかどうかで、細胞の生死を判断できる
最後に、今回チラっと出てきた顕微鏡の話も以下の記事で解説しています。
暇があったら見てください笑。