無顎類とは? どういう生物がいる?
ほとんどの脊椎(せきつい)動物は口に入れたものを噛み砕くための顎を持っている。
しかし一部には顎を持たず、口が吸盤のような円形をした生物たちもいる。
また、そうした生物は原始的な体の構造をしていたり、生きた化石と呼ばれることもある。
今回は無顎類(むがくるい)という生物たちに迫る。
目次
無顎類とは?
無顎類は脊椎動物の中で顎を持たない生物たちを指す。
また、現存する無顎類は口が吸盤のような丸い形をしていることから、円口類とも呼ばれる。
↓イメージとしてはこんな形の口と歯をしている。"ヤツメウナギ"や"ヌタウナギ"で画像検索をしてみよう。
特徴
無顎類に属する生物たちには以下のような特徴がある
- 口は上下ではなく左右に開閉する
- 半規管が1~2つしかない
- 体が粘膜で覆われている
- 動きが緩慢で、運動能力は高くない
- 原始的な魚類と言われるが、胸鰭(むなびれ)や腹鰭(はらびれ)がない
ここで、半器官という聞き慣れない単語が出てきたので、2番について少し解説する。
我々人間を含め、脊椎動物の耳の中には半規管と呼ばれる器官があり、この半規管は体の平衡感覚や回転感じ取る器官である。
脊椎動物の場合、この半規管が通常3つあるので、特に三半規管とも呼ばれる。
つまり半規管は運動のコントロールに関わる器官である。
無顎類は種にもよるがこの半規管を1~2つしか持たないのである。
無顎類の位置づけ
無顎類は生物の分類名であり、正式名を無顎口上綱(むがっこうじょうこう)という。
脊椎動物は、顎を持つかどうかで無顎口上綱、顎口上綱の大きく2つにわけることができる。
無顎類(無顎口上綱)に分類される生物は、顎口上綱に分類される生物よりも圧倒的に数は少ない。
ヌタウナギ綱に属するヌタウナギ類、頭甲綱に属するヤツメウナギ類のみである。
魚類も、鳥類も、爬虫類も、両生類も、そして我々人間を含む哺乳類も、全て顎口上綱の中に属している。
無顎類って魚なの?
無顎類は厳密には魚類ではない。
しかし有顎類(顎口上綱)は無顎類から進化したとされており、よって無顎類は「原始的な魚類」ということで、魚類図鑑にて解説されていることが多い。
※ちなみに無顎類は浅い海の中で誕生したとされている。
ほとんどが絶滅
地球に初めて無顎類が誕生したのは今から5億年ほど前の、古生代のカンブリア紀という時期。
ちなみに無顎類は有顎類よりも1億年ほど先に出現している。
だから無顎類はかなり長い歴史を持ち、現存する種が「生きた化石」などと呼ばれることは頷ける。
しかしながら、ほとんどの種は同じ古生代の末期までに絶滅してしまっている。
※絶滅の原因は不明
上図の赤く塗られた部分に属していた生物たちは全て絶滅している。
現存するのはヌタウナギ綱に属するヌタウナギ類と、頭甲綱に属するヤツメウナギ類のみである。
古生代という時代については、ざっとですが以下の記事で解説しています。
無顎類の一種であるヤツメウナギについて、別記事で解説しているので暇な方はご覧ください。
まとめ
- 無顎類は顎がないという特徴以外にも、半規管の数が少なかったり、見た目は魚のようで胸鰭や腹鰭がなかったりと、他の脊椎動物とは変わっている
- 無顎類は海で誕生し、見た目も魚っぽいが、厳密な分類では魚類ではない
- 無顎類は、正式には無顎口上綱という