血球はどのような役割をしているか? 赤血球、白血球、血小板とは?
私たちの体内を流れる血液は体液の一種であるが、100%の液体ではなく、約半分が固体成分である。
そしてその固体成分が血球である。
今回は血球について詳しく見ていこう。
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目次
血球
血液の成分は液体である血しょうが55%と、固体である血球が45%の割合で混ざったものである。
血球は骨の中の骨髄という場所で作られ、赤血球、白血球、血小板の3種類がある。
赤血球
ヘモグロビンというタンパク質を含み、中央がくぼんだ、やや扁平な形をした細胞。
特徴
- ふつう細胞にあるはずの核がない
- 大きさは8μm
- 含有量は400万個/m㎥
400万個/m㎥とは、1mm×1mm×1mmの小さな箱に400万個入っているイメージだよ!
赤血球は酸素や二酸化炭素を運搬する役割を持つが、それには赤血球に含まれるヘモグロビンが多大な貢献をしている。
ヘモグロビンはタンパク質でできており、酸素と結合しようとする性質を持つ。
例えば、血しょう(ヘモグロビンなし)に溶ける酸素は1リットルあたり3ミリリットル。
それに対し、ヘモグロビンを含む赤血球には1リットルあたり200ミリリットルの酸素が溶けこむことができるのであある。
すごい量!ヘモグロビンを含むからこそ、赤血球は酸素の運搬を効率よく行えるんだね!
ヘモグロビンと酸素
ヘモグロビンは肺で酸素を受け取ると、酸素ヘモグロビンになり、赤血球に含まれ全身を回る。
そして行く先々の組織(細胞など)に酸素を供給する。
組織では呼吸などにより酸素が絶えず消費され、二酸化炭素が発生するため、赤血球が行く先々の組織は二酸化炭素分圧(量)が高くなっている。
そして二酸化炭素は酸素とヘモグロビンの結合を阻害するはたらきがある。
これによって二酸化炭素分圧が高い組織に赤血球が辿り着くと、ヘモグロビンと酸素が切り離され、最終的に組織に酸素が供給されることになる。
このようにして、赤血球は全身のあらゆる組織に酸素を運ぶのである。
白血球
白血球は体内に入ってきた異物を排除する免疫細胞である。
特徴
- 核がある
- 運動する(自ら動く)
- 形は不定形で、大きさは16μm
- 含有量は4,000個/m㎥
白血球は異物を排除する免疫機能としてはたらき、血球の中で最も大きさが大きいが、数は最も少ない。
そして白血球には様々な種類がある。
好中球
樹状細胞
マクロファージ
リンパ球(T細胞)
リンパ球(B細胞)
これらは全て白血球の一種である。
ちなみにリンパ球であるB細胞とT細胞は作られたあとに成熟が必要で、B細胞は脾臓、T細胞は胸腺で成熟する。
血小板
血小板は巨核球という細胞がくずれたものである。
特徴
- 核なし
- 大きさ、形がバラバラ
- 2~4μmの大きさ
- 含有量は40万個/m㎥
先述の通り、血小板は元は細胞だったものがくずれ、断片となったものなので核はないし、大きさも形もバラバラである。
そんな血小板の役割は血液を凝固させ、血餅(けっぺい)を作ること。
ケガをして血を出すと、だんだん血が固まってきて、数日後にはすっかり血の固まりができるよね。血餅とはいわゆる"かさぶた"のことだよ!
血小板と血液凝固
血小板の大きな役割は、血餅を作るためのフィブリンという物質の合成に関与していることである。
先ほど述べた血餅は赤血球や血小板といった血球とフィブリンという繊維状の物質が絡み合ってできている。
そしてこのフィブリンという物質は血液中には存在しない。
もし存在していたら血液の中で勝手に血が固まって大変なことになるよ!
ではフィブリンはどこから来るのかというと、フィブリンは血液中でバラバラの形をしたフィブリノーゲンという別の物質として存在している。
必要に応じてフィブリノーゲンがフィブリンになるのだが、フィブリノーゲンをフィブリンに変化させるためには、"トロンビン"という酵素が必要である。
そしてこのトロンビンも血液中に存在しない。
もし存在したらフィブリノーゲンを変化させて結局フィブリンを作ってしまうからである。
そのためトロンビンは普段は"プロトロンビン"という物質として、不活性の状態で待機している。
では、プロトロンビンをトロンビンに活性化させるものは何か。
それは血小板因子、カルシウムイオン、凝固因子(組織液に含まれる)の3つである。
このうち血小板因子とカルシウムイオンは血液中に存在するが、凝固因子だけが組織液中に存在する。
したがって勝手にプロトロンビンがトロンビンに活性化されることはないし、結果的にフィブリンが作られることもない。
逆に言えば、血小板因子、カルシウムイオン、凝固因子のいずれか1つでも欠けるとフィブリンが作れないのである。
※この性質を利用し、血液を採取して研究する場合はカルシウムイオンをクエン酸ナトリウムで除去するなどして血液が固まってしまわないようにしている。
また、血液が特に多く集まる臓器である肝臓では、ヘパリンという、トロンビンを抑制する物質が絶えず生産されて血液が簡単に固まらないような仕組みになっている。
まとめ
- 血球は骨髄で作られ、赤血球、白血球、血小板の3種類がある
- 赤血球はヘモグロビンを含み、全身に酸素を輸送している
- 白血球にはいくつかの種類があり、成熟が必要なものもある
- 血小板は元は1つの細胞が崩れたもので、フィブリンを作るための血小板因子として関与している