花はなぜ咲くのか? 植物の基礎知識を復習!
本記事では植物に関する基礎知識をおさらいしていこう。
今回は被子植物や裸子植物といった、私たちが義務教育下の理科で習った懐かしい内容も登場する。
ちょっとノスタルジックな気持ちになりながらゆる~く学んでいこう。
目次
植物の構造と役割
花はなぜ咲くのだろう?
それは一言で言えば生殖のためだ。
もっと具体的に言うと、花粉を運搬してくれる昆虫たちに見つけてもらうため。
では葉はどのような役割をしているか?
茎や根はどうだろう?
花
花の基本構造を下図に示した。
※絵のモデルはアブラナです。
花はめしべ、おしべ、花弁(花びら)、がくの4つの部位から構成されている。
これら4つが全て揃った花を完全花、何かが欠けている花を不完全花とも呼んだりする。
おしべの先端には"やく"と呼ばれる花粉が詰まった袋がある。
やくは別名で花粉袋とも呼ばれる。
また、おしべから出た花粉がめしべの先端(柱頭という)に付くことを受粉という。
がくはひらひらとした花びらを支える役割をしている。
この花びらがひらひらしているのも虫をおびき寄せるためだ。
葉
植物は葉を様々な方向に広げることによって太陽光に当たる面積をかせいでいる。
そして葉には葉脈が通っている。
葉脈は動物でいうと血管のようなもの。
葉の表には葉緑体を含む細胞が多くあり、一方で葉の裏には気孔が多く存在する。
葉緑体は光合成の場であり、気孔は気体(特に水蒸気)の出入り口である。
以下の絵は葉の断面を細胞が見えるレベルまでに拡大したものである。
上側が葉の表、下側が裏になる。
太陽光は基本的に葉の表に当たるため、葉緑体を含む細胞の多くは葉の表に集中している。
他方で、葉の裏に気孔が多いのは、葉の表では雨水などがたまってしまう可能性があるためである。
植物は根から水を吸い、気孔から水蒸気のかたちで大気中に捨てている。
このように、気孔から水蒸気が出ていくことを蒸散という。
蒸散をして水を常に捨て続けないと、植物は根から新しい水を吸うことができない。
網状脈と平行脈
植物の葉は葉脈の通り方によって2種類に分けることができる。
葉脈が網目状に広がっている網状脈タイプと、葉に対して平行に葉脈が通る平行脈タイプの2つである。
茎
茎は、根とともに植物の体を支え、かつ物を運ぶ管の役割をしている。
茎の切ってその断面を見てみると、内側に水が通る管(道管)、外側に栄養分が通る管(師管)が束になって並んでいる。
この道管と師管の束を維管束と呼び、維管束は上図のように規則的に並んでいるか、あるいはバラバラに散在しているかの2パターンある。
道管は水が通るから、例えば水を赤く着色すると道管も赤く染まるよ!学校の理科の授業で実験した記憶がある人も多いかも!
根
根は植物の体を支え、土から水分や養分を吸収する役割を担う。
根はその伸び方によって大きく2種類に分けられる。
一般にひげ根と呼ばれる根は、放射状に伸びる。
他方で、主根という太い根を伸ばし、その側面から側根という根を伸ばすパターンもある。
根毛
植物の根を拡大してよ〜く見てみると、何やら毛のようなものが根から生えている。
これを根毛と呼び、根の表面積をかせいでより多くの水分や栄養分を吸収することに一役買っている。
根毛は目に見えないくらい細く細かいのが普通だ。
しかし、大根のように例外的に目に見えるくらい立派な根毛を生やす植物もいる。
※根毛の写真は記事に貼り付けできるものが手に入りませんでした。すみません。
ちなみに根毛はあまりに細かいため、植物を土から引き抜いたりすると結構土に取り残されてしまう。
そして当然根毛が減ると水分や養分の吸収効率が落ちる。
植え換えをして植物が弱ることがあるのはこのせいである。
被子植物と裸子植物
種子を作って子孫を残す植物を種子植物といい、種子植物はさらに被子植物と裸子植物に分かれる。
まず、先ほどのアブラナのように胚珠が子房に包まれている植物を被子植物という。
子房は将来果実になる部分で、胚珠は将来種子になる部分である。
一方で、子房を持たず胚珠がむき出しの植物を裸子植物という。
写真はクロマツで、マツは裸子植物の代表種。先端の赤いものが雌花、その下に沢山ついている白っぽいのを雄花という。雌花に胚珠がくっついている。
現在、地球上の植物の多数派を占めているのは被子植物であり、実は裸子植物は押され気味。
裸子植物は数を減らしていて、例えば街路樹でよく見かけるイチョウは絶滅危惧種だよ!
裸子植物が数を減らしている理由の1つには、被子植物との生存競争で遅れをとっていることが挙げられる。
例えば生殖に関して言えば、花粉の運び方が両者では異なる。
被子植物は花粉を運ぶ手段として主に昆虫を利用し、一方で裸子植物は主に花粉を風に乗せて飛ばすという方法をとるものが多い。
昆虫と協力してより確実に花粉を運ぶのと、風に任せてワンチャン・・・では、前者のほうが効率的である。
また、裸子植物は胚珠がむき出しになっているため、環境の変化を種子がもろに受けてしまい、結果被子植物に比べて環境の変化に弱いという点もある。
写真は裸子植物の一種であるソテツ。
双子葉類と単子葉類
被子植物は子葉の数によって双子葉類と単子葉類に分けられる。
子葉とは、植物が芽を出してから最初に現れる葉のこと。
単子葉類は文字通り子葉が1枚で、双子葉類は2枚である。
この単子葉類と双子葉類は根の張り方や葉脈、維管束の並びに傾向がある。
まず双子葉類は根が主根と側根、葉脈は網状脈で、維管束は規則正しく並ぶ種類が多い。
それに対し単子葉類は、根はひげ根、葉脈は平行脈、維管束は散在している傾向がある。
ところで、なぜ双子葉類と単子葉類にこのように異なった傾向があるのかは分かっていない。
子葉の枚数で何が変わるのか、葉脈が平行に入っている場合と網状に入っている場合でどのようなメリットがあるのか、維管束の並び方はなぜ違うのか、はっきりとした根拠は不明である。
ちなみに、単子葉類は双子葉類から分岐、進化したものと言われているよ!
まとめ
- 花は、めしべ、おしべ、花弁、がくから構成され、植物にとっての生殖器である
- 花は花粉を運んでくれる昆虫などをおびき寄せる役割もしている
- 葉は光合成が主におこなわれる場である
- 茎は植物の体を支え、さらに水や養分が通る管の役割をしている
- 根は茎とともに植物の体を支え、水や養分を吸収する役割をもつ
- 被子植物は子葉の枚数によって双子葉類と単子葉類に分類できる