唐辛子ってどんな植物? なぜ辛いのか?
唐辛子はナス目 ナス科 トウガラシ属に属する植物の総称である。
ちなみに名前に「唐」とつくが、中国が原産ではない。
今回は私たちの生活に欠かせない、唐辛子のお話をしよう。
目次
実は雑木や雑草の類!
唐辛子は栽培の歴史が非常に古く、紀元前8000年前にさかのぼると言われている。
その原産は南米(メキシコと言われている)で、栽培種は原種のものが5~6種と、派生種が10種類ほどである。
私たちが普段スーパーで目にしたり、食べたりする唐辛子はそのうちのたった1種。
唐辛子はナス科の植物に分類されるが、雑木や雑草の仲間であり、日本ではないと思うが、人間が耕した場所に勝手にはえてきたりもするのだそうだ。
スーパーに行くとたまに枝付きで売ってるよ!
唐辛子の種類
一口に唐辛子と言っても、品種は豊富。
唐辛子には様々な品種があって、鷹の爪もその一つである。
では、いくつかの品種を見てみよう。
鷹の爪
日本で生産されている代表種の唐辛子はこれ。
形が上向きにカーブしているのが特徴で、調味料としての利用のほか、防虫剤としても利用される。
アクアリウムをやっている人は白点病のために魚に使った人も多いのでは?
しし唐辛子
通称"しし唐"。
赤いイメージの唐辛子とは違った緑色の唐辛子で、辛さも甘い品種。
色が緑色をしているのは、まだ熟していないものを収穫しているため。
唐辛子は成熟すると赤やオレンジ色になり、同時に辛味が増す。
実はこの品種も熟すると赤くなるが、それでもあまり辛くない。
ハバネロ
激辛といえばハバネロと言われるくらいの有名種であり、辛さの権化のような品種。
オレンジ色で丸っこい形をしているのが特徴で、フルーティーな香りがする。
なお、私は小学校の頃に未熟のものをかじって地獄を見たことがある。
ハラペーニョ
名前だけは聞いたことあるであろうメキシコ原産の緑色の唐辛子。
辛さは他の唐辛子と比べて中程度。
なんかピーマンみたいだね。
キャロライナリーパー
2013年に最も辛い唐辛子としてギネスに認定された品種。
赤くてゴツゴツした質感が特徴。
なんと、食べたことにより病院送りになるケースも。
インフレする"辛さ"
世界一の辛さとしてギネスに認定されていたキャロライナリーパーだが、2017年にはその辛さをさらに上回るドラゴンズ・ブレスが登場。
そして、その数か月後にはドラゴンズ・ブレスを上回るペッパーXが誕生。
その辛さはキャロライナリーパーの2倍であるが、まだギネスには登録がされていない。
※唐辛子にはカプサイシンという物質が含まれており、これが辛さの要因である。
また、唐辛子の辛さを数値化したものをスコヴィル値と言い、カプサイシンの含有量でによって決まる。
例をあげるとタバスコが8000程度、上記のペッパーXが320万程である。
唐辛子で見る動物の進化
唐辛子は辛くてとてもバクバク食べられるようなものではない。
では、なぜ唐辛子はこんなに辛いのか。
そして、人間以外でこの激辛植物を食べる生物はいるのだろうか。
そもそも唐辛子はなぜ辛い?
唐辛子が辛いのは、容易に食べられまいと進化したためと考えられている。
特に唐辛子に含まれるカプサイシンは、植物性病原菌に対して強い抵抗能力がある。
そもそも、唐辛子に限らず植物は自分を食べようとする微生物や昆虫などの他生物に対し、何らかの防衛手段(毒など)を持っている。
中でも唐辛子は自らの果実に強力な刺激物を含むことで自らを守っているのだ。
例えばサボテンは体に鋭いトゲがあるよね!
唐辛子を食べる稀有な哺乳類
ツパイという動物をご存知だろうか。
外見がリスに似た小型の哺乳類で、なんと人間以外に唐辛子を食べることができる唯一の哺乳類である。
研究者たちによると、この動物は生き残るために唐辛子を食べられるように進化することで食事にバラエティーを見出したのではないかということだ。
生物は本当に面白い!
鳥類は辛さを感じない!?
↑こんな感じ。
ペットショップなどに行くとびっくりするのだが、インコなどの鳥用に唐辛子がそのまま袋に入って売られている。
鳥類は唐辛子の辛味を感じる体の部分がないため、辛味を全く感じないのだ。
鳥類は空を飛べるため、行動範囲が広い。
また、食べられた種(たね)は消化されず、糞と一緒に外に排出される。
よって、唐辛子にとっては、鳥に食べられたほうが都合が良いのかもしれない。
鳥が唐辛子を食べるように進化したのか、唐辛子自身が鳥だけには食べられるように進化したかは不明だ。
少なくとも、遠くに運んでくれない微生物や病原菌にやられるよりは鳥に食べられたほうがはるかにマシなはずである。
鳥に食べられることで広い範囲に種を散らせるんだね。