レッドリストとは? レッドデータブックとは? 両者の違いは?
IUCNの2018年のレッドリストによると、2万6千種の生物が最も絶滅の恐れが高いとされる3カテゴリーに登録されている。
また、日本国内の絶滅危惧種(環境省指定)の数は3700種にも及ぶ。
今回は、絶滅が危惧されている生物たちを学ぶ基礎として、レッドリストとレッドデータブックについて学ぼう。
目次
レッドリストとレッドデータブックの違い
レッドリスト
絶滅の危険性のある生物を、その危険度によって分類し、掲載しているもの。
哺乳類、爬虫類など、種類ごとに分別している。
重要なのは、レッドリストはあくまで絶滅の危険性にある生物の名前と危険度をリスト化しただけのものであるということだ。
だから、その生物の生息地などの詳細は記されていない。
レッドリストに掲載されている動物例
私たちのよく知る動物たちが、レッドリストに記載されている。
例えばゾウ、サイ、ラッコなどである。
2016年には、キリンがレッドリスト入りをした。
レッドデータブック
レッドリストに基づき、絶滅の危機にある生物の学名や分布、生息状況、詳細な危険度などが具体的に記載されている。
レッドデータブックはレッドリストの解説書みたいなものなんだね!
どこで作られている?
IUCN(国際自然保護連合)という、世界で最も大きな自然保護団体が作成している。
IUCNは世界の国々の政府関係機関だけではなく、非政府団体(NGOなど)も参加し、1つの巨大な組織となっている。
日本からは外務省や環境省なども参加している。
各国が独自にリストを作成!
実は、IUCNでレッドリストを作成したあとに、それに基づいて各国が独自のレッドリストとレッドデータブックを作成している。
例えば日本独自のレッドリスト、いわゆる日本版レッドリストは環境省が作成をしている。
さらに、日本では各都道府県の状況を評価する、都道府県版のレッドリストが各自治体やNGOにより作成されている。
この独自に作成されたレッドリストは、評価基準や危険度ランクも独自のものを設けているため、IUCNで作成されたリストの内容と全てが必ずしも一致しない。
生物の実態は、その生息国や地域が最も把握しやすいから、独自にも作成するんだね。
何年ごとに改定されている?
日本の場合、環境省_レッドリストによると、大幅な見直しはおよそ5年ごとだそうだ。
そして、特に生息状況の悪化などが懸念される種については適宜(毎年)個別に改定されている。
危険度のランク
危険度のランクと、その略称などを表にまとめてみた。
ランクは、野生での調査の結果、個体の減少が見られれば上がるし、回復が認められれば下がる。
このうち、絶滅のおそれのある野生生物と一般的に見なされているのは、上記の着色したCR、EN、VUになる。
これらは最も絶滅の恐れが高いとされる3カテゴリーと呼ばれ、日本ではそれぞれ絶滅危惧IA類、絶滅危惧IB類、絶滅危惧II類と訳されている。
CDやLC、NEは日本では使われていない一方で、LPという独自のランクがあるね。
リストに掲載=保護されるわけではない!
レッドリストに掲載され、かつたとえどんなに絶滅の危機が深刻であっても、必ずしも法的にその生物が守られるわけではない。
リストに掲載された生き物を食べたり、獲ったりしていいかは、その生物の生息国が決めることなのだ。
※絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく「国内希少動植物」に指定されれば、法律保護の対象にはなるものの、実際に希少動植物に指定された数とレッドリストの掲載数と比較するとまだ大きな差がある。
終わりに
今回は生物の絶滅の環境問題対する基礎知識として、レッドリストと、レッドデータブックについて簡単に書いてみた。
レッドリストとレッドデータブックは唯一の存在ではなく、各国、各地域が独自に作成している。
しかし、問題も見えてくる。
分類や評価の基準にバラつきがあることは、生物という他種多様なものを対象とするうえで致し方のないことではある。
地域(自治体)と国、そして国際組織へ、うまく情報交換や意見交換をしていくことが非常に重要になるだろう。
参考文献、サイト
International Union for Conservation of Nature - IUCN