生まれたばかりの地球はどのような環境だったのか?
今回は生まれたばかりの頃の地球についてざっくり解説する。
目次
灼熱の星
地球はおよそ46億年前に誕生したとされており、生まれて間もない地球は原始地球と呼ばれる。
わざわざ「原始」という言葉を添えるくらいだから、現在と初期の地球は別物のようなすがただったのかもしれない。
何せ当時の地球には、陸地もなければ青い海もなく、大気の組成も異なっていたと考えられているのだ。
もちろん生命の痕跡も見つかっていない。
誕生した頃の地球には、宇宙から多くの隕石や微惑星が降り注いでいた。
それらが衝突した際のエネルギーが熱エネルギーになり、地球を構成していたはずの岩石を溶かしたため、マグマが地球を覆っていた。
原始の地球には青い水の海ではなく、ドロドロのマグマの海が全体に広がっていたのである。
このマグマの海をマグマオーシャンと言い、当時の地球は火の玉地球などと呼ばれることもある。
とてつもなく高温であったため、様々な物質はマグマオーシャンの中に溶けて存在していた。
微惑星とは?
宇宙を漂うチリなどが集まってできた小さな天体を言い、直径10km程度。似た言葉に「小惑星」があるが、原始地球に降り注いだものを微惑星、現在も地球の周りをまわっているものを小惑星と慣習的に呼び分けている。
謎多き時代
地質学では、地球誕生の46億年前〜40億年前の6億年を冥王代と呼ぶ。
これはギリシアの冥王ハデスからつけられた名前だ。
何だかオサレな名前の時代だが、実はこの6億年間は地球史の中でも特に謎が多い。
理由は、最も古い時代であることに加え、前述のように当時の地球が火の玉状態であったからである。
過去の地球の様子は、岩石や化石といった手がかりをもとに研究されていくものである。
しかし、岩石が溶けてマグマと化していたため、証拠となる岩石がほとんど残っていないのだ。
原始の地球についてはそもそも詳しいことがあまり分かっていないというのを頭に入れておこう。
海の誕生
いくら灼熱であるとはいえ、何億年もの時間が経つと隕石や微惑星の衝突がひと段落した。
熱をもたらすものがおさまり、地球は徐々に冷えていったのである。
すると地球を覆っていたマグマは固まって岩石となった。
同時に、温度が下がったことで大気に存在していた水蒸気が凝結し、雲ができるようになった。
雲は大雨を降らせ、より一層地球を冷やしていった。
文献によるが、雨は100年続いたとも1,000年続いたとも考えられている。
いずれにせよ海ができるほどだったのだから、とんでもない降雨だったのだろう。
こうして長い間多量の雨が降り、地球の温度も水が液体でいられるほどまで下がっていき、初期の海である原始海洋が誕生したのである。
なお、海ができた正確な年代は定かではないが、40億年前にはできていたらしい。
酸性の海
初期に降り注いだ雨はただの水ではなく、硫酸や塩酸が溶けており、温度もかなり高温だったとされている。
そのため原始海洋は強酸性の海であったと考えられている。
しかし、酸性の海や雨は岩石に含まれるカルシウムやナトリウムなどと反応して徐々に中和され、現在の海に近づいていった。
水がもたらしたもの
水が液体として大量に存在できるようになると、ここから水の惑星としての地球が始まったといっても過言ではない。
例えば、海ができたということは、水の循環が本格的に始まったことを意味する。
海からの蒸発→雲ができる→雨として再び海へ
のサイクルである。
また、水は熱しにくく冷めにくいという性質がある。
大量の液体の水が存在することで、季節変化など、地球の自転や公転に伴って起こる温度変化が和らいだものとなり、結果環境の安定をもたらしたと考えられている。
原始大気
地球初期の大気、つまり原始大気は二酸化炭素や水蒸気が主に含まれ、窒素やメタンなども存在したと考えられている。
現在の大気は窒素が8割ほどあり、次点で酸素が多く含まれるのでだいぶ違っている。
二酸化炭素や水蒸気は衝突した隕石や微惑星によってもたらされたものと考えられており、マグマオーシャンよりも軽かったために液体のマグマから飛び出し、大気となったとされている。
酸素は?
ところで、現在は大気に2番目に多く含まれる酸素はどこから来たのだろうか?
実は、酸素をもたらしたのは光合成を行う生物であると考えられている。
今回は詳しくは述べないが、後に海の中で生命が誕生し、彼らの中から太陽光を使って水と二酸化炭素から有機物を合成し、酸素を放出するものがあらわれたのだ。
原始の地球はとても生命が誕生し住めるような場所ではなかったのだろうが、今度は生命が新たな地球の歴史を紡いでいく。
参考文献等
NHK for School 高校地学