生命の原型はどのようなものだったか?
生命は海で生まれたとされている。
その場所は、真っ暗で高水圧な海底の、数百度の熱水が出る極限の場所だった。
今回は前回の続きで、生命の原型が作られる過程を見ていこう。
目次
生命の原型と海の「波」
生命の原型となるものを作ったのは海中の水分子と有機物である。
地球はできた当初は地表の温度が100℃を超える灼熱の惑星だったわけだが、それも時間の経過とともに冷え、雨が降り、海ができた。
そして海や大気で有機物が作られるようになり、特に有機物が効率よく生成できた海では、大量の有機物が存在している状態であった。
ここで生命誕生の重要な要素になったのが海の「波」だ。
当時の海の波はかなり激しかったとされ、波によるエネルギーが強かった。
生命の原型となるものの見た目は泡のような形をしていた。
この泡のようなものは、海中に大量に存在した有機物と水の分子が波という大きなエネルギーを繰り返し受け、合わさることによってできたのだ。
月と波
海にはなぜ波があるのか、それは風や月の引力などが原因である。
当時の海の波が強い要因として月が挙げられる。
現在、月は徐々に地球から遠ざかっていて、月は当時は現在よりも地球に150倍近い距離にあった。
そのため、月の引力が強くはたらき、現在よりも波がかなり強くなっていたと言われている。
コアセルベート
コアセルベート。
理科・CSTの広場、コアセルベートより
水と有機物が合わさり、生命の原型になった泡のようなものはコアセルベートと呼ばれている。
コアセルベートは膜を作ったり、周囲のものを吸収したり、中で化学反応を起こすこと(いわゆる代謝)ができた。
コアセルベートは生物の細胞の原型ではないかとされている。
ここから時間を経て細胞になり、生命が誕生していくわけだね。
初期の生物の体
現在の多くの生物の体では、DNAが遺伝物質として働き、タンパク質が酵素という役割をする仕組みである。
しかしながら、私たちの体には矛盾がある。
それはタンパク質を作る過程でもタンパク質が必要であることだ。
え、じゃあタンパク質ってどこから来たの?
実は、誕生したころの生物は、今の生物と体の仕組みが異なっていたとされている。
まだ生命の誕生に関しては仮説が多いのだが、初期の生命はRNAを持ち、RNAが遺伝物質と酵素の役割を両方担う体の仕組みを持っていたのではないかと言われている。
※RNAとは生物の細胞の中にある物質で、生物の体の中で遺伝やタンパク質の合成に関与している重要な物質である。
※最近の研究では、RNAが酵素的な役割をすることができることが分かっている。
そして進化の中で、RNA自身がタンパク質の役割をするのではなく、RNAがタンパク質を作る体の仕組みをもった生命が生まれたのではないかとされている。
なぜタンパク質を作るようになったか
RNAがタンパク質を作るようになった理由は仮説であるが、以下のようなものがある。
今では、タンパク質は様々な組み合わせがあり、一口にタンパク質と言っても多くの種類がある。
色々な種類のタンパク質の役割をRNA自身が単独で行うよりも、様々なタンパク質を作り、それを組み合わせたほうがもっと多様な化学反応が起こすことができる。
その結果、細胞の機能アップにつながるというメリットがある。
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