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古生代はどういう時代だった? 太古の生物の栄枯盛衰

今回は古生代について俯瞰していこうと思う。

長さだけで見ると先カンブリア時代よりもインパクトが薄れるが、現存の生物の祖先たちがかなり出揃った重要な時代である。

 

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※ざっと簡単に書いていくので、各時期の概要的な部分しか書いていません。

 

目次

 

 

古生代 

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※自分で作成した画像ですが、事情があって切り取りをしているため、少々歪なのをお許しください。

 

先カンブリア時代が終わると、古生代という時代に突入する。

そして古生代はさらに6つの時期に区分できる。

 

古生代先カンブリア時代末期の生物の大絶滅のあとから始まった時代であり、長さは5.4億~2.5億年前の約3億年間である。

 

約40億年を誇る先カンブリア時代と比べると10分の1ほどの長さであるが、この時代に現在の生物の礎となるものたちが多々出現する。

 

カンブリア紀

時期:5.4億~4,8億年前の約6000万年間

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特徴

  • 生物が爆発的に増え、現存する生物の多くの祖先が誕生
  • みんな大好きアノマノカリスも登場
  • 脊椎動物の祖先が出現

 

この時期は、酸素を生成するシアノバクテリアが誕生してだいぶ経ち、地球の酸素濃度も徐々に高まってきて、生物がどんどん誕生してくるようになる。

 

そして何よりもこの時代の生物たちは多くが綺麗な化石として残っていることが特徴だ。

軟体動物でさえ化石として保存されている(柔らかいものは食べられて分解されて残りにくい)。

 

カンブリア紀は多くの生物が出現した時期であり、その生物たちの隆盛をカンブリアの大爆発と言ったりもする。

そしてカンブリア紀を支配した生物はm超えの巨大な節足動物である(後述のアノマノカリスなど)

 

実際に何かが爆発したんじゃなく、爆発的に多くの生物たちが誕生したっていう意味だね。

 

また、カンブリア紀ではバージェス動物群と呼ばれる生き物たちが出現した。

 

バージェス動物群には当時の食物連鎖の頂点にいたといわれるアノマノカリス(上記写真)、針だらけの謎の体をしたハルキゲニア、そして我々脊椎(セキツイ)動物の祖先と呼ばれるピカイアがいた。

 

ピカイアは現存のナメクジウオに姿形が似ているよ。

 

先カンブリア時代古生代下のカンブリア紀は名前が似ていてややこしい。

先カンブリア時代は元は"先カンブリア紀"と呼ばれており、地質年代の研究が進むにしたがって紀から一つの"時代"として区分が変わったため、ややこしい名前になっている。

 

オルドビス紀

時期:4.8億~4,4億年前の約4000万年間

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特徴

  • 有顎類(魚類)の出現
  • 軟体動物の繁栄
  • オウムガイの出現
  • この頃にオゾン層形成

 

この時期に入るころにはカンブリア紀の生物はほとんどが絶滅している。

しかし、生物の多様性が衰えたわけではない。

 

まず、それまで無顎類だけだったのが、オルドビス紀では海の中で魚の祖先となる有顎類が出現した。

有顎類とは簡単に言えばその名の通り顎を持つ生物である。

 

逆に無顎類は現存のヤツメウナギみたいな口をした生物たちだよ!

 

そしてこの時代で隆盛していたのは軟体動物たちもそうだ。

現在生きた化石として有名なオウムガイが出現したのもこの時期である。

 

オウムガイは軟体動物の一種で、軟体動物は貝類やタコ、イカのことだよ!

 

さらに特筆すべきは、酸素濃度がどんどん上昇しオゾン層が形成されたのもこの時期ということだ。

 

それに伴い節足動物や藻類、コケ類が水際にまで進出していたと言われている。

これは有害な紫外線が地上に届きにくくなり、生物の陸上進出の足場が整ったことを意味している。

 

シルル紀

時期:4.4億~4.1億年前の約3000万年間

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特徴

  • 植物が陸上に進出
  • シダ植物が繁栄

 

オゾン層が形成され、シルル紀ではとうとう植物が陸上進出を果たした。

初進出した植物の名前はクックソニア

 

クックソニアはコケ植物とシダ植物の中間的特徴を持ち、両者の共通祖先と言われている。

この植物のあとに続き、リニアという初めてのシダ植物が出現した。

※リニアは現在のマツバランに姿形が近いとされている。

 

一方で海の中ではウミサソリという1m~2mもの巨大なサソリが食物連鎖のトップに君臨していた。

 

ウミサソリ節足動物と言われていて、しかもエラを持っていたよ!

 

※生物が陸上に上がるためには有害な紫外線の克服だけではなく、乾燥に対する耐性も持たなければならない。

紫外線はオゾン層の形成によりほとんど克服したが、問題は乾燥耐性であり、それが動物の陸上進出の高いハードルであった。

この時期の上陸した植物たちは当然ながら乾燥耐性を身に付けていたとされている。

 

デボン紀

時期:4.1億~3.6億年前の約5000万年間

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シーラカンス

 

特徴

  • 有顎類から硬骨魚と軟骨魚に分化
  • 動物の陸上進出
  • 両生類の登場
  • 昆虫の台頭

 

デボン紀魚類の時代でもある。

オルドビス紀では有顎類(魚類)が出現し、彼らは地道に進化をとげていた。

 

魚類が硬骨魚と軟骨魚に分化したのはこの時代で、軟骨魚は今でいうサメに当たる。

 

当時の硬骨魚にユーステノンプテロンという魚がいる。

ユーステノンプテロンはヒレがかなり発達していて、「こいつ後に手足を持って陸上化するんじゃね?」と言われるような形をしている。

 

ちなみに、このユーステノンプテロンにそっくりな見た目の魚が現在でも生きており、それがシーラカンスである。

 

そしてユーステノンプテロンの例があるように、陸上進出を果たした最初の動物は硬骨魚の一部の種が進化したものと言われている。

エラを肺に、ヒレを手足に進化させた硬骨魚の一部が両生類となったのだ。

 

陸上に初めて進出した動物はイクチオステガという両生類だと言われているよ!

 

一方で、シルル紀ではm超えのサソリがいた節足動物は、一部が完全に陸上で暮らすようになり、同時に小型化が進んだ

 

当時の地球では酸素濃度が徐々に増えてはいたが、それでも現在よりも20~30%ほど濃度が低かった。

 

このままでは数メートルの巨体を維持するほどの酸素を取り込めず、小型化の道を選んだのだ。

 

また、節足動物の中から徐々に昆虫が出てくるのもこの頃である。

しかしながら昆虫の進化や出現といったルーツには未だに謎が多い。

 

ここまで動物に関してばかり述べてきたが、植物もちゃんと進化している。

 

シルル紀では初のシダ植物が登場したが、この時期の植物の中にはシダ種子植物と呼ばれるシダ植物と裸子植物の中間的な植物が登場している。

現在のソテツと酷似した体の構造を持つ植物たちである。

 

植物たちはどんどん拡大し、そして大型化していく。

そしてこの植物たちが、次の時期の生態系に非常に大きな影響をもたらす。

 

石炭紀

時期:3.6億~3億年前の約6000万年間

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特徴

  • シダ植物の時代
  • 酸素濃度がかなり高い
  • 節足動物の大型化

 

石炭紀は一言で言えばシダ植物の時代である。

当時は植物も動物も陸上化を果たしていたが、植物を主食とするような草食動物はまだ少なく、シダ植物は隆盛をきわめた。

 

シダ植物はどんどん巨大化し、草から木になるものまで現れ、巨大なシダ植物の森を作った。

 

当時のシダ植物は40~50mくらいあったよ!

 

このシダ植物たちにより酸素が盛んに放出された結果、地球の酸素濃度は今よりも40%ほど高かったと言われている

 

そしてこの高い酸素濃度がもたらしたのは節足動物の大型化である。

片方の羽の先からもう片方の羽の先まで70センチもあるトンボ(メガネウラ)や、2m前後のムカデなど、今から見るととんどもない時代だ。

 

※両生類はこの巨大な節足動物たちを餌にして繁栄していた。

 

ところで、この時期を"石炭"紀と呼ぶ理由は大繁栄した植物たちにある。

枯死した巨大なシダ植物たちが化石となり、さらに石炭になったためだ。

この時期の地層からはものすごい量の石炭が見つかっており、それにちなんで名がつけられている。

 

余談だが、この時代は酸素濃度が高いせいで落雷一発の威力が凄まじかったとも言われている。

理科の授業で、ビンの中を酸素で満たしてものを燃やす実験をしたことがあると思う。

酸素は燃焼を助けるはたらきがあるため、高濃度の酸素の中では落雷が大爆発のようになるらしい

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ペルム紀

時期:3億~2.5億年前の約5000万年間

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特徴

  • 何度かの氷河期がある
  • 爬虫類が出現
  • 哺乳類の祖先となる単弓類が出現
  • 植物は裸子植物が繁栄
  • 後半に地球史上2度目にして最大の生物大絶滅があった

 

ここまでで繁栄していた両生類だったが、もちろん競争も起こった。

競争の中で、両生類から乾燥耐性を身に付けて完全な陸上生活に移るものが出てきたのだ。

 

彼らこそが爬虫類であり、体を鱗で覆い、日光と乾燥から守るために固い殻をもった卵を生むようになった。

 

また、ペルム紀は何度かの氷河期を伴う時代である。

寒さに対抗するために、一部の爬虫類は恒温(体温を一定に保つこと)を獲得するよう進化していった。

 

爬虫類の中からは単弓類(哺乳類型爬虫類)と呼ばれるものが出現し、エダフォサウルスなどが有名である。

 

単弓類は後の哺乳類につながるとも言われているよ!

 

ちなみにこの頃の海の中では、三葉虫が栄華を誇っていた。

世界中の海の中で当たり前のようにいたと言われている。

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大絶滅、再び

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ペルム紀後半に、地球史上最悪の大絶滅が起こる。

原因は火山の噴火とその後の気温の上昇により、大量の酸素が消費され、地球の酸素濃度が低下したためと言われている。

 

火山の噴火により、酸素が大量に消費され、二酸化炭素の量が増えた。

その二酸化炭素が強い温室効果をもたらし、地球の温度は上昇したと言われている。

 

温度の上昇により極の氷がとけた。

海水は極地や氷で冷やされ、重くなったものが沈み込むことにより循環していたが、それが停止してしまった。

海の中の酸素がどんどん不足していった。

 

さらに陸上では、噴火に伴う火山灰が空を覆い、植物の上に堆積し、光合成を阻害した。

これが先の酸素の減少に拍車をかけた。

 

こうして、酸素濃度の低下と気温の上昇が長期間続き、生物の90%以上が絶滅したと言われている。

地球史上最悪にして最大の生物大量絶滅である。

 

先ほど述べた単弓類は体温を維持するために大量の酸素を必要とした

単弓類を含め大型の節足動物などにも酸素濃度の低下は大ダメージであり、多くが絶滅していった。

 

一変して過酷になった地球環境だが、単弓類が全て絶滅したわけではない。

あまり酸素を必要としない小型のものと、胎生を持ったものは生き残った

 

この生き残りが哺乳類につながっていくし、他に生き残った爬虫類などの生物たちもどんどん進化していく。

 

そして次の中生代には恐竜が出現する。

 

続き

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