生きるものに魅せられて

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有機物は生態系内をどう循環するの?

有機物とは、糖やタンパク質、脂肪など炭素からなる物質のことである。

有機物は生産者(植物)の光合成などによりできるが、では作られた有機物は生物の体をどう移動するのだろうか。

今回は、生態系内での物質の移動を見ていこう。

 

目次

 

有機物の移動

植物が光合成をしたとき、草食動物が植物を食べたとき、肉食動物が草食動物を食べたとき、生きるためのエネルギーとなる有機物はどうなるのだろうか。

摂取した量が全て自身の成長やそのとき生きるために使われるのだろうか。

 

ここでは、そういった有機物の流れを見ていこう。

※あくまで生態系全体の話である。

 

生産者の有機物の流れ

生産者は自ら有機物を作ることができる

そのため、生産者から見ていこう。

 

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現存量とは、その生物自身が元々持っている有機物の量である。

では、ここで光合成をしたとすると、以下のようになる。

 

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光合成によって結構な量の有機物が生まれたわけだが、これが全て生産者自身にものになるわけではない

まず、合成された有機物の中から今自分自身が生きるために使われる(呼吸量)

 

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そしてここで思い出してほしいのが、今話しているのはある生態系内での全体の生産者の話。

つまり何割かは枯れたり、その他事情で死んでしまう(枯死量)

 

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さらに、消費者によって食べられてしまうものも出てくる。

 

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するとこれだけが残り、自身が成長するためにまわすことができる(成長量)。

 

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結構合成しても、自分たちのの成長に当てられるのはわずかだね。

 

消費者の有機物の流れ

では、消費者はどうだろうか。

消費者は生産者を食べることで有機物を得るので、下図からスタートする。

 

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生産者における被食量が、消費者の摂食量である。

摂食量とは、あくまで消費者が"口に入れた量"であり、何割かは不消化のまま排出されたり、純粋に排泄にまわる

 

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あとは生産者のときと考え方は同じである。

今生きるために必要な呼吸量、何割かは死亡、そして高次の消費者による捕食(被食量)。

残ったものが自身の成長にまわせる量である。

 

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分解者は?

分解者には生産者たちの枯死量、消費者たちの不消化排出量、死亡量が餌として回ってくる。

 

このようにして、始めに生産者によってできた有機物は上位の生物の体へと移動していく

 

炭素循環

生物を構成する物質の一つである炭素は、炭水化物脂肪といった形で生物の体内に存在する。

一方、生物の体外、自然環境内では、特に二酸化炭素という形で大気中に存在する。

 

つまり炭素は、生物とその外の環境を循環している

 

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まず大気中の炭素(二酸化炭素)が生産者によって取り込まれる。

生産者は一次消費者に食われ、一次消費者もまた二次消費者に食われ、炭素は生物の体内を移動していく。

 

ここまででは外の環境に存在していた炭素が生物の中に取り込まれただけである。

循環するためには戻る必要がある。

 

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生物たちは呼吸をする。

この呼吸によって二酸化炭素が体の外に放出され、大気に戻るという循環が発生する。

これにより、全体の炭素の総量は一定に保たれる

 

ちなみに、呼吸の総量は生産者や消費者よりも分解者たちが圧倒的に多い

生物の体に取り込まれた炭素を再び外に戻しているのは主に分解者たちだと言っても過言ではない

 

分解者自身が死ぬと?

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分解者は生産者や消費者の遺骸などを餌としているが、分解者自身にも当然死はある。

簡単に説明すると、死んだ分解者は土に堆積する

 

分解者たちも餌などで有機物(炭素)を得ており、長い時間をかけて多くの分解者が堆積する。

これが化石燃料である。

 

化石燃料の正体は死んで堆積した生物たち(分解者)だったんだね!だから化石燃料を燃やすと二酸化炭素が出るのか!