小型で大人しい日淡底物! ツチフキの飼育
日淡の小型の底物として人気を博すツチフキ。
飼育は容易と言われているが、混泳などを考えるとそこまで簡単な魚というわけではないというのが実際飼育している私の感想だ。
今回はツチフキの飼育についてまとめてみた。
目次
基本データ
【種名】
ツチフキ
【学名】
Abbottina rivularis
【英名】
Chinese False Gudgeon
【分類】
コイ目 コイ科 カマツカ亜科 ツチフキ属
【大きさ】
8~10cm程度
【生息地】
日本では近畿以西の本州、国外では朝鮮半島や中国
※日本では移入が進み、関東で見られることも。
【寿命】
2~3年
生態
ツチフキは、水流があまり強くない、淀んだ水域の砂泥底に生息する。
河川の下流域や水田の脇の水路(特に底が泥などになっている場所)を探してみよう。
食性は肉食寄りの雑食性。
繁殖は、雄が産卵のための巣を作り、卵も雄が守る。
似た魚にカマツカという魚がいる。
カマツカはツチフキより大きくなり(20センチを超える)、砂によく潜る。
口もツチフキより大きい。
一方でツチフキはほとんど砂に潜らない。
飼育に必要なもの
ツチフキは簡単な設備があれば飼育することができる。
私個人の経験では飼育難易度は普通。
飼育に最低限必要なものは
- 水槽
- 水槽の蓋
- 底砂
- ろ過装置
- エアレーション※
である。
※エアレーションはろ過装置など、水槽環境や設備と相談です。
水槽
オススメは45~60センチの大きさの水槽。
ツチフキは最大でも10センチになるかどうかの大きさの魚であるため、本種だけ3匹ほどの数の飼育であれば45センチ水槽で終生飼育が可能。
あと、水槽には必ずしっかり蓋をしてほしい。
ツチフキは臆病で、人が水槽に近づくと驚いてとてつもなく暴れるので、蓋がないと間違いなく飛び出す。
蓋をしたら隅の隙間なども飛び出しができないように塞ごう。
底砂
底砂はこれじゃなきゃ絶対ダメというものはない。
大磯砂か田砂などの細かいものが良い。
逆に溶岩石のような先が尖ったものはやめておいたほうが良い。
ツチフキは底物であり、しかも上述のように結構暴れるので、ケガをしてしまう可能性がある。
ちなみに私は田砂を使用。
ろ過装置
何でもOK。
強いて言うなら酸素を同時に供給できる上部フィルターがオススメ。
45センチ水槽以上の大きさの水槽であれば上部フィルターが使える。
魚をあまり入れず、余裕をもって飼育するのであれば投げ込み式フィルターでも可能。
エアレーション
エアレーションは必須ではないが、あると重宝する。
エアレーションをおこなう目的は、水中への酸素供給や油膜の除去である。
酸素は水温が上がるにつれて水に溶けにくくなる。
そのため、水温が高くなる夏場ではできる限りやったほうが良い。
また、水面に油膜(油みたいな膜が張る減少で、正体は微生物の死骸)が張ってしまったとき、エアレーションをすれば水面が揺れて油膜を除去してくれる。
上部フィルター、投げ込み式フィルター、底面フィルターはエアレーションをろ過とともに行ってくれるため、これらをろ過装置として使っている場合は無理してエアレーションをやる必要はない。
それでも夏場の高水温が心配であれば、別個で夏場の間だけでも設置するのはアリ。
ヒーター
ヒーターはあってもなくてもどちらでも良い。
日淡魚なので、寒さには耐性があるからだ。
ただし、季節の代わり目や1日で室温・水温が急激に変化するような場所に水槽を設置してる場合は、加温というよりも水温の安定という目的で設置することは大いにアリ。
水草
混泳相手やお好みで水草は決めて大丈夫。
水草の上で一息つくツチフキ。
水景に緑がほしいとか、レイアウトを気にするならアナカリスやマツモを放り込んでおけば無難。
水草と産卵の関連性は不明。
ただ、水草を植える場合は底物であるツチフキの遊泳スペースがあまり狭くなりすぎないように注意しよう。
ツチフキは積極的に泳ぎまわる魚ではないが、底物飼育の基本として、底面の遊泳スペースをしっかり確保し、常に底砂の清潔を保つことが長期飼育のポイントになる。
水草を植えすぎて底砂の掃除ができないような状況にはなるべくしないほうが良い。
小さな石などで隠れ家を作りつつ、遊泳スペースは広めに確保しよう。
広めの遊泳スペースを確保することは、底砂の掃除のしやすさにも直結する。
餌
餌は川魚の餌から冷凍アカムシまで何でも食べるが、環境変化などで突然食べなくなってしまうことがある。
そのときは色々な餌をあげて根気よく慣らそう。
ちなみにツチフキは口がかなり小さいので、小さめの細かい餌を与えるのがオススメ。
ちなみに我が家では↓の川魚の餌と冷凍アカムシを使用している。
採集ではなく、ツチフキをショップなどで購入する場合、店で与えていた餌を聞き、それと同じものを与えるのもオススメ。
混泳
ツチフキは非常に大人しく、性格だけ見ると混泳向きである。
ただし、底物であり、口が小さく、餌食いも遅いので、動きの早いタナゴや、底物でないが大食漢で底の沈んだ餌を漁るフナとはベストな相性ではないと思う。
一番のオススメは、底物は底物だけで飼うか、上層を泳ぐ性質が強く底まで降りてこない魚と混泳させること。
中でも特にすすめたいのがドジョウ類だ。
私はシマドジョウと混泳させている。
飼育例
これは私が実際にツチフキを飼育している水槽である。
写真は立ち上げ当初のものだが、設備は今現在もずっと変わっていない。
水槽・・・45×32×23(水量26リットル)
底砂・・・田砂
ろ過・・・水作エイトM(投げ込み式フィルター)
ライト・・・適当なLED
生体・・・ツチフキ1、シマドジョウ1、オオシマドジョウ1、ヤマトヌマエビ1
換水・・・毎週3分の1で換水しつつプロホースで底砂掃除
ツチフキは当初2匹いたのだが、1匹だけ突然拒食になり、死んでしまった。
ツチフキは砂に潜らないが、シマドジョウはかなり潜る。
ツチフキとの差別化もできていて、良いタンクメイトである。
以上が飼育例になる。
ツチフキの長期飼育のポイントとしては
- 餌がしっかりツチフキに行き渡る環境
- 底砂をしっかり掃除して清潔を保つ
- できるだけ大きな水槽で飼う(最低でも45センチ↑推奨)
の3つがかなり重要だと思う。
あと、これは個人的に飼育してみての経験則なのだが、ツチフキは結構神経質な魚だと感じた。
私がツチフキ飼育で失敗してしまったパターンは、飼育を始めてから1ヶ月くらい経ち、突然餌食いが悪くなり、徐々に痩せていって死ぬ・・・というものだった。
同居させていたドジョウは何ともないし、水換えはコケなどの様子を見ながら定期的に行っていたのにもかかわらずだ。
ツチフキはとにかく臆病で、物音や光に反応して暴れまくることが多かった。
当然こういった行動は飛び出しにも繋がるし、狭い水槽もストレスになるだろうと思う。
以前に、60センチのワイド水槽でフナやタナゴ類と混泳させていたのだが、餌の食いっぱぐれを憂慮して45センチの専用水槽を立ち上げて移したら、拒食してすぐに死んでしまった・・・ということもあった。
タナゴやフナ、ドジョウなどの他の屈強な日淡魚と比べると、飼育難易度はやや高いかもしれない。
当記事がツチフキの飼育に少しでも参考になることを切に願う。