森林にはどんな種類がある?どんな木が生える?
ある地域に生息する全ての生物の集団(まとまり)をバイオームと言う。
そしてバイオームは大きく"森林"、"草原"、"荒原"の3つに分類できる。
今回はその3つの中の一つ、森林のバイオームについて詳しく見ていこう。
↓から続いています
目次
バイオームと優占種
SirHenrry,File:Vegetation-no-legend.PNG - Wikimedia Commons
図のように、世界には様々なバイオームがある。
例えば、図の上部の水色で塗られた地域はツンドラと呼ばれるバイオームで、アフリカやオーストラリア中部あたりに茶色で塗られた地域は砂漠である。
さらに、日本やオーストラリアのように一つの国に数種のバイオームが存在していることもある。
ところで、それぞれのバイオームには優占種となるものが存在する。
優占種とは、そのバイオームの中で最も量的に、あるいは面積的に広く分布している生物種のことである。
森林
森林が形成される基本条件は年間降水量が1000mm以上で、年平均気温が-5℃以上。
そして森林は相観(見た目)によって、7つに分類される。
熱帯多雨林
森林の中でも、熱帯で見られる森林は特に熱帯多雨林と呼ばれる。
年間を通して降水量がかなり多く(年間2000mm以上が条件)、高温多湿である。
高木の常緑広葉樹(落葉せず1年中常に葉をつけている樹種)に加え、木につる植物や着床性の植物などがまとわりつき、多様な植物が混在する。
そのため、うっそうとした感じの森林が形成される。
具体的な種としてはヒルギやマングローブが見られることがある。
南米アマゾンとか、私たちがジャングルをイメージするのがこの熱帯多雨林だね。
また、気候(温度など)の急激な変化こそあまりないものの、植物の種類が豊富すぎて、植生の変動が激しいのもこのバイオームの特徴である。
同じ場所にあった木が次の年にはなくなってる・・・なんていうのが普通にあるらしい。
特定の植物が一人勝ちできるような環境ではないため、優占種が存在しないのだ。
亜熱帯多雨林
熱帯多雨林と比べると気温と降水量は控えめ。
また、熱帯多雨林で見られたつる植物などが見られず、常緑広葉樹などの高木が優占している。
具体的な樹種はガジュマルやソテツ、ヘゴなどである。
実はこのバイオームは日本でも見られるバイオームであり、それは沖縄である。
ソテツ。
針葉樹林
主に亜寒帯に分布し、冬が長いなど、寒さが厳しい環境で形成される森林。
森林が形成できるので、降水量は多い。
針葉樹には常緑針葉樹と落葉針葉樹がある。
針葉樹林が形成される場所では、1~2種類の樹種のみで統一的な森林になっていることが多い。
具体的な樹種はエゾマツ、シラビソ、カラマツ。
カラマツ。
冬になると雪が降り、その雪は木や葉に積もる。
すると、葉に積もった雪で光合成が阻害されたり、積もった雪の重みで枝ごと折れてしまうなどのリスクがある。
そのため広葉樹(広い葉をつける)ではなく、葉に雪が積もりにくい針葉樹(マツのように葉が針のように細い)が優占する。
針葉樹林は日本でも見られ、樹種としては常緑針葉樹が見られる。
しかし日本より北、例えばロシアのような亜寒帯地域ではあまりに寒すぎて、さすがの針葉樹といえども冬期に葉をつけておくのは危険である。
あまりにも寒いと、植物でも凍傷になって腐ってしまったりするよ!
そうした地域では厳しい冬季のみ葉を落とす落葉針葉樹が優占している。
夏緑樹林
冬は降雪があって寒く、夏はそこそこ暑いような、温帯地域で形成される森林。
日本の東北地方でよく見られるバイオームである。
具体的な樹種はブナやミズナラ。
このバイオームに見られる木々は、夏はたっぷりと光合成するために広い葉をつけ(広葉樹)、寒くなってくると冬季の降雪に備えて葉を落とす(落葉)。
そのため、落葉広葉樹が優占する。
ブナ(秋)。
照葉樹林
温帯に分布し、温暖で降水量も多めの環境で形成される。
同じく温帯で形成される森林には上記の夏緑樹林もあるが、こちらは冬季の降雪量が少なめで、温度もやや温暖な環境である。
日本の東京や関西地方で見られるバイオームでもあり、常緑広葉樹が見られる。
具体的な樹種はシイやクス、カシ、タブなど。
夏緑樹林では"落葉"広葉樹だったね。
クスの木。
ところで、このバイオームで見られる植物は、葉の表と裏にあるクチクラ層と呼ばれるものを発達させている。
クチクラ層とはクチン(ろうそくのロウみたいなもの)でできた層で、これで葉をコーティングしている。
なぜこのようなことをするのかというと、乾燥による水分のロスを防ぐためである。
例えば日本って冬は特に乾燥するよね。東京や関西の常緑樹たちは落葉しないから、こうやって乾燥対策をしているんだね。
さらに照葉樹林の葉はこのクチクラ層によって葉が少しピカピカしている。
これが、"照葉"樹という名の由来にもなっている。
硬葉樹林
冬に降水量が多く、夏に乾燥するという地中海性の気候で見られるバイオーム。
そのため、日本では見られない。
常緑広葉樹で構成され、照葉樹林に生える常緑広葉樹以上にクチクラ層を発達させているものが多い。
具体的な樹種はオリーブ(上写真)やコルクガシ。
※夏は気温が上がり、葉から放出される水分量は多くなる。しかし、地中海では夏季に乾燥するため、葉から失われる水分量はさらに多くなる。そのため、同じ常緑広葉樹でも、照葉樹林を形成するものよりも、このバイオームに属するものはクチクラ層がさらに発達している。
雨緑樹林
熱帯、亜熱帯に分布する森林バイオーム。
この森林が形成される地域の最大の特徴は、雨季と乾季があること。
もちろん日本には見られない。
全く雨が降らない乾季対策で落葉するため、落葉広葉樹が生える。
具体的な樹種はチーク。