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代謝とは何か? ATPとは?

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人間を含め、多くの生物は酸素を吸って二酸化炭素を吐く。

また、植物は光合成により、酸素を吐き出す。

一般的にはこのように簡単に理解されているけれど、実はこれらは生物が行う代謝の一つ。

今回は、生物の代謝のお話。

 

目次

 

代謝とは何か

代謝とは、生物の体内で起こる化学反応全般を指す。

もっとしっかり言うと、生物は細胞の中で化学反応を起こし、それによってエネルギーを作り出したりしている

 

生物は生きるためにエネルギーが必要である。

動き回るにも、体温を維持するためにも、とにかくエネルギーが必要である。

代謝とは、生物が生きていくために必要なエネルギーを作ることでもあるのだ。

 

同化と異化

代謝には、大きく分けて同化と異化の2つがある。

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同化

同化とは、単純なものを合成して複雑なものを作り出す一連の過程である。

つまり、無機物から有機物を作り出す一連の過程である。

 

同化の好例は植物が行う光合成である。

植物は無機物である水と二酸化炭素を材料に、日光などの光エネルギーを利用して有機物である炭水化物を作り出す。

 

異化

異化とは、複雑なものを分解してエネルギーを得る一連の過程である。

つまり同化とは逆である。

 

異化の好例は生物が行う呼吸である。

例えば動物は食事をし、食べたもの(タンパク質などの有機物)を分解して、エネルギーを得る。

 

↓異化(呼吸)については以下の記事で詳しく解説しているので暇な方は見てね。

inarikue.hatenablog.com

 

代謝とATP

代謝は生物の体内で起こる化学反応であるが、化学反応は放置していては起こらず、反応を起こすために別にエネルギーが必要である。

 

そのために生物は食事をしたり、日光などを取り込んだりして、まず外部から代謝のためのエネルギーを得ようとする。

 

だが、代謝に利用するための光エネルギーなどは、取りこんだところでそのまま直接には使うことができない

そのため、体内ではATPという物質を介してエネルギーが使われる。

 

まず、細胞内にはADPという物質がある。

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このADPに、光エネルギーなどのエネルギーが取り込まれると、ADPはATPという物質に変化する。

 

つまり、ATPはエネルギーをたっぷり蓄えた、電池のようなものである。

このATPのに蓄えられたエネルギーを使い切ると、ATPはADPになる。

 

ADPは空っぽの状態っていうイメージだね。

 

同化のプロセス

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細胞内に光などのエネルギーが取り込まれると、そのエネルギーはADPの中に閉じ込められ、ADPはエネルギーを蓄えたATPになる。

 

そして無機物から有機物が合成されるとき、ATPが運ばれてきて、中に蓄えていたエネルギーを放出する。

このエネルギーが無機物から有機物を合成するための原動力になる。

 

エネルギーを放出し切ったATPは再びADPになる。

 

異化のプロセス

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異化では、同化の逆のことが行われる。

摂取するなどした有機物から出てくるエネルギーはまずATPにストックされ、運動をするときなどに応じてATPが使われる。

 

 

ATPとADPの構造

ADPに光エネルギーなどのエネルギーが蓄えられることでATPになる。

では、その蓄えられたエネルギーは一体ATPのどの部分にあるのだろうか。

ATPとADPの構造を見ていこう。

 

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まず、ATPとは"アデノシン三リン酸"という物質の略である。

Aはアデノシン、Tは英語のTriple(トリプル)、Pはリンである。

 

もともとアデノシンとは糖と塩基が結合したものであり、そのアデノシンに3つのリン酸がさらに結合したものがアデノシン三リン酸である。

 

ATPの由来はA(アデノシン)にT(3つ=トリプル)のP(リン酸)が結合してるっていう意味なんだね!

 

また、ATPは2番目と3番目のリン酸が強いエネルギーで結合している。

実は、摂取したりしたエネルギーは、この結合部分に蓄えられている

ここの結合を切り離すことで、エネルギーを使うことができる。

 

そして、結合を切り離してエネルギーが使われると、ATPはADPとなる。

 

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ちなみにADPのDは英語のDouble(ダブル)。

リン酸が2つ結合しているからダブルなのだ。

 

まとめ

  • 代謝とは、生物が生きるために体内で起こす様々な化学反応である

 

  • 代謝には同化異化という2つのものがあり、同化は光合成、異化は呼吸である

 

  • 同化は無機物から有機物を合成する一連の過程である

 

  • 異化は有機物を分解してエネルギーを得る一連の過程である

 

  • 生物は摂取した有機物に含まれるエネルギーや、吸収した光エネルギーなどをそのまま利用しているわけではない

 

  • 体内に取り込んだエネルギーはATPという物質を介して利用される