日淡入門種! モツゴ(クチボソ)を飼ってみよう!
今回は、自身の飼育経験から、モツゴの飼育法を解説していこうと思う。
日々の飼育と観察、そして書籍などから得た情報をなるべく簡単に、余計なものは入れずにまとめているので、飼育の参考例にしていただけると嬉しい。
※記事を読んで分からないところや、細かいところ、誤りの指摘などありましたら、コメントください。
目次
基本データ
【種名】
※地域によっては「クチボソ」と呼ぶこともあります。かくいう私もクチボソ呼びです。
【学名】
Pseudorasbora parva
【英名】
Stone moroko
Topmouth gudgeon
【分類】
コイ目 コイ科 モツゴ属
【大きさ】
8cm前後
【生息地】
日本、中国などの東アジア
- 止水域や流れがあまり早くない川などに生息。
- 小魚のときはタナゴの群れなどに混じって泳いでいることがある。
【寿命】
2~3年
飼育に必要な設備
飼育に最低限必要だと思うのは以下の4つ。
この4つがあれば即死なせてしまうようなことはまずない。
- 水槽
- 水槽の蓋
- ろ過装置
- エアレーション(ブクブク)
↓日淡魚の飼育に共通して必要なものや、あると便利なものについては以下の記事でまとめているので、ご参考ください。
水槽の話
寿命を全うさせたいならば、規格が幅60cm以上の水槽で飼育してほしい。
底でじっとしているドジョウ類と違って遊泳頻度は高いし、小さくとも8センチくらいまでは育つ魚なので、十分な広さで飼育するのがベスト。
水槽には黒いフレーム(枠)があるタイプと、フレームレスのオールガラスの水槽があるが、どちらでも良い。
ただし、オールガラス水槽は熱帯魚水槽なんかでよく使われててオサレ感が出るが、重量がかなりあって、上部フィルターを載せるために引っ掛ける枠や出っ張りがないので、上部フィルターとは相性が良くない。
それともう1つ、水槽内にあえて水流を作る必要はない。
クチボソは水の流れが弱いところに生息しているので、わざわざ強い水流にさらすのはNGだ。
ちなみに、フィルターなどの排水によってできる程度の水流は気にしなくて大丈夫。
ろ過の話
ろ過装置(フィルター)をホームセンターや通販で買おう。
上部フィルター、底面フィルター、外部フィルターならどれでもOK。
これらフィルターのろ過能力は個人的には同じくらいで、どれも高いと思う。
ハズレはないので、自分の飼育スタイルに合ったフィルターを選択してほしい。
あえて言うなら
- 魚メインで飼育したい人 →上部や底面フィルター
- 水草も植えたい人 →外部フィルター
という感じ。
ちなみに私は上部フィルターと投げ込み式フィルター(後述)をセットで使っている。
では簡単に3つの特徴や注意点を述べておくと
上部:安価で、フィルター自体のメンテナンスが本当に楽。通販だと3,000~4,000円くらいで買える。コスパ、メンテナンス性は3種の中で一番だが、音がうるさい(自分は寝室に置いているが気にならない)。また、水槽の上部を占領するので水草がちょっと育てにくくなったり、構造上オールガラスの水槽にマッチしなかったりする。このフィルターを使うなら、水槽はフレーム有りの水槽を選ぶと良い。
底面:こちらも安価。砂利などを入れる前にろ過装置のパーツを敷いて、その上から砂利などをさらに敷く。そのため、底面ろ過装置自体をメンテナンスしたい場合、砂利ごとひっくり返さなければならないので、非常にめんどくさい。といっても、底面フィルターを頻繁にひっくり返す人はまずいないので、プロホースなどで砂利の掃除だけしておけば大丈夫。上部フィルターと違って水槽のどこかを占領するわけではないので、全体がスッキリして見える。あと、水草育成とは相性が悪い。
外部:底面フィルターのように水槽内の場所をとらず、3種のフィルターの中では最も水草育成に向いているとされている。しかし、底面フィルターほどではないがメンテナンス性が悪く、しかも3種の中で最も高価である。魚と水草の両立をするならベストなフィルターで、しっかりとメンテナンスなどをできるのであれば外部フィルターを選んでも問題はない。
↓フィルターに関しての詳細は、先ほど貼った記事にて解説していますので、参考にどうぞ。
エアレーション、その他設備の話
例えば、金魚の水槽などによく入っているエアレーション(ブクブク)は、入れておいて損はない。
ただ、上部フィルターや底面フィルターはろ過だけではなくエアレーションも兼ねているので、入れなくても飼育は可能。
エアレーションが最も本領を発揮するのは水温が上がってきたときだ。
季節が暖かくなったりすると、水温が上がって酸素が水にとけにくくなる(特に夏)。
日淡魚は酸欠でトラブルになりやすいので、心配な人は入れておこう。
他には、エアレーションは、設置することで水の循環を作ってくれたり、突然ろ過装置が故障して止まったしまったときの、一時期的なセーフティネットにもなる。
あと、エアレーション単体ではなく、水作エイトなどの投げ込み式フィルターを入れてやると、エアレーション+補助ろ過の効果が期待できるので、スペースに余裕があったら導入を強くオススメする。
※ヒーターについて
クチボソは日本の淡水魚なので、低温やある程度の高温、そして温度変化には強めです。なので、ヒーターは基本的に必要ありません。金魚や日淡魚を飼育する際にヒーターを入れている方がいますが、あれは冬季に水槽内を温めるという目的よりも、季節の変わり目などの急激な水温変化を緩和するために導入していることが多いです。ちなみに、10年以上日淡魚の飼育などをしてきましたが、私はヒーターを入れたことはありません。
底床の話
水槽の底に敷く砂利は、
- 大磯砂
- 田砂
- 津軽プレミアム
あたりがオススメ。
大磯砂は細かい小石が混ざったいわゆる砂利で、下の2つは砂。
特に初めて魚を飼う人、底面フィルターを使う人は大磯砂を選んでおくのが最も無難だと思う。
なぜ大磯砂を勧めるのかというと、メンテナンスが圧倒的に楽で、水草も植えやすいから。
植えない人でも大磯砂のミディアムサイズくらいにしておけばまずハズレはない。
田砂や津軽プレミアムといった砂は見た目重視で綺麗だが、重さが軽くて掃除の時にホースで吸い込まないように注意しないといけないし、底面フィルターは、砂で目が詰まってしまうことがあるため相性があまり良くない。
砂はちょっと掃除にコツがいるよ!
餌の話
クチボソはなんでも食べるので、餌やりに困ることはないだろう。
市販の人工餌でかまわない。
植物性の餌と動物性の餌をバランス良く与えてあげよう。
注意するとすれば、口がかなり細く、特に小魚のときは小さいので、餌の粒の大きさに十分注意しよう。
動きが遅い魚でもないので、食いっぱぐれることもない。
↓エサについては以下でまとめており、その中で紹介しているものならなんでも大丈夫です。
性格と混泳、水草の話
クチボソは病気にもなりにくく、雑食性で、人工餌にも容易に餌付くため、非常に飼いやすい魚だ。
性格もあまり物怖じしない性格のようで、体格差があっても他の魚にビビったりせず、むしろ自分より大きなフナの体表を突っついていることもあった。
まさに、日本淡水魚飼育の入門種と言えるだろう。
魚同士はまず大丈夫
クチボソはナマズのようなフィッシュイーターでもない限り、多くの日淡魚と混泳可能である。
私はフナ、タナゴ類、ドジョウ、モロコと混泳させているが、一度も問題が起こったことはない。
しかし、同種に対しては少々追い回すことがある。
書籍などで理由を調べたところ、クチボソは繁殖期になると気性がやや荒くなるようで、そのとき同種を追い回すとのことだ。
大きくなってきたクチボソが、他のクチボソを追い回し始めたら繁殖ができるサインなのかもしれない。
追い回しがあまりにひどければ隔離して対策をとってほしい。
あと、多くの魚と混泳可能とは言っても、デメキンなどとは混泳させないほうが良いと思う。
クチボソはとりあえず突こうとするので、目だとか、ヒレが長い魚は傷つくかもしれないからだ。
エビは注意
エビは食べられてしまう可能性があるので、入れないほうが良いと思っている。
というのも、コケ取りも兼ねてヤマトヌマエビを投入したところ、クチボソがしきりに追いかけて突きまくり、殺して食べてしまった。
それ以来私はエビ類との混泳は一切させておらず、エビはクチボソと混泳可能かと聞かれたらやめておくよう言っている。
個体差もあるので絶対とは言えないが、混泳させるならばしっかり観察し、エビが隠れられる場所を作るなどの工夫が必要かもしれない。
水草はOK
クチボソは雑食性だが、植物を食べているのをほとんど見たことがないし、水草を食い荒らされた経験もないので、水草を植えたレイアウトは可能だ。
アナカリス、マツモ、アヌビアス類、バリスネリア類などと入れたが無問題だった。
ただ、コケには注意して欲しい。
クチボソはコケ取り要員としてポピュラーなエビを捕食する可能性があるため、石巻貝などで対策することになるだろう。
※ちなみに石巻貝やヒメタニシといった貝類は混泳大丈夫です。石巻貝は現在実際に半年ほど混泳させています。
うまく水草と両立させて、綺麗なレイアウト水槽にチャレンジするのもありかもしれない。
↓我が家のクチボソ。小魚だったころは体に黒いラインがうっすらと入っていたが、成長とともに消失してしまった。