アミノ酸とは何か? コドン表って?
アミノ酸はタンパク質を作る材料になる物質であるが、そもそもアミノ酸とは何者なのか、そしてどのくらいの種類があるのだろうか。
今回は、アミノ酸の基本的な知識を簡単に学んでいこう。
目次
アミノ酸とは何か?
アミノ酸は、カルボキシル基とアミノ基という構造をもった化合物の総称である。
いきなりカルボキシル基などという難しそうな用語が出てきたが、これは後に解説する。
それはそれとして、アミノ酸は生物が生命を維持するにあたって絶対に欠かせない重要な物質である。
なぜならば、アミノ酸はタンパク質を作る原料であり、タンパク質はいくつものアミノ酸が結合することによってできているからだ。
アミノ酸によってできるタンパク質は生物の中で様々な機能を担う。
タンパク質によって、髪の毛や皮膚、目の水晶体から酵素、免疫の抗体まで、体にとって必要な様々なものが作られているのだ。
必須アミノ酸
アミノ酸は自然界では約500種類が発見されていて、そのうち生物の体を構成しているアミノ酸は20種類である。
この20種類のアミノ酸はどの生物にも必要であるが、20種類全てを体内で作れるわけではなく、作れない分は外部から摂取する必要がある。
これを必須アミノ酸という。
自分で作れないから、外部からの調達が必須であるっていう意味で「必須アミノ酸」なんだね!
20種類のうち、どのアミノ酸が必須アミノ酸であるかは生物種によって異なる。
例えば、ヒトの場合は20種類中9種類が必須アミノ酸である。
それは、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリンである。
ヒト以外の生物では、例えば大人のラットは、ヒトの9種の必須アミノ酸にアルギニンを加えた10種が必須アミノ酸となっている。
構造
全てのアミノ酸は、カルボキシル基(COOH)とアミノ基(NH2)という部分を持つ。
これがアミノ酸の構造上の大きな特徴となる。
アミノ酸の種類を決めるのは"R"の部分で、これが異なるとアミノ酸の種類も変わる。
このアミノ酸がいくつか結合してタンパク質を作るのだが、一般的にアミノ酸が50個以上結合して立体構造をとったものをタンパク質という。
それに対し、50個未満のアミノ酸が結合したものはペプチドと呼ばれる。
このとき、アミノ酸同士は互いにペプチド結合と呼ばれる結合方法で繋がっている。
より詳しくペプチド結合を見てみると、以下のようになっている。
ペプチド結合では、先にあるアミノ酸のカルボキシル基に、後から来たアミノ酸のアミノ基が結合する。
その際、OHとHよりH2Oが作られ、外される。
これを専門用語で脱水縮合反応という。
コドンとコドン表
タンパク質を構成しているアミノ酸は、コドンという暗号をもとに作られる。
そして、コドンに対応するアミノ酸をまとめた表をコドン表と呼ぶ。
コドン表は、いわば遺伝の暗号表とも言える。
このコドン表は、全ての生物に当てはまり、このことはセントラルドグマが全ての生物に共通していることに由来している。
※一部の単細胞生物やミトコンドリアでは、ほんの少しだけ異なるコドンが使われていることが分かっています。
↓コドンについて分からない方はこちらもどうぞ!
生体内のアミノ酸の数
あれ・・・?生物の体内のアミノ酸が20種類ってちょっと少なすぎない?
ここで、1つ疑問に思うことがあるかもしれない。
生物の体内におけるタンパク質の翻訳を思い出してみよう。
翻訳では、3つの塩基で1つのアミノ酸が指定されて運ばれてくる。
そしてその塩基の種類は4種類で、A・T・G・Uであった。
とすると、アミノ酸が作られる組み合わせは理論上4×4×4=64で、64種類になり、生物の体内では20種類しかないはずのアミノ酸の種類を超えてしまう。
実は、この差は1つのアミノ酸に対して複数の塩基配列があてがわれていて、20種類になっていることで調整されている。
つまり、種類によって1つのアミノ酸に対してコドンが複数存在するということであり、それは上のコドン表を見てもらえれば一目瞭然である。
あ!確かに!例えば、グルタミンを指定するコドンにはCAA・CAGの2種類があるね!
コラム:コラーゲンは体に良い食べ物か?
しばしば健康食品として「コラーゲンがたっぷり入った」などという宣伝文句とともに商品が売られているのを見かける。
コラーゲンについてはタンパク質に関する記事でも説明したが、アミノ酸摂取の観点から見るとこれ健康に良い食べ物なのだろうか。
まず、「良質なタンパク質」とは、上記の必須アミノ酸がバランス良く含まれているタンパク質を指し、この良質なタンパク質が含まれている食品が健康に良いとされる。
では、コラーゲンのアミノ酸組成を考えてみよう。
コラーゲンの組成は、グリシンだけで30%以上、ブロリンとそれに似たもので20%、アラニンで10%を占めている。
これが何を意味するのかというと、コラーゲンは決して体に悪いものではないが、アミノ酸バランスが悪いタンパク質であるということだ。
つまり、良質なタンパク質とは必ずしも言えないことになる。
※筆者は決してコラーゲンアンチではないのでご了承ください。
結局、アミノ酸やその他の栄養素をバランス良く摂取することが、健康的な食事になるんだね!
↓タンパク質については以下の記事をご覧下さい。
まとめ
- アミノ酸はカルボキシル基とアミノ基という構造をもった化合物の総称である
- アミノ酸はタンパク質を作る原料であり、生物がその生命活動を維持するのに欠かせない物質である
- タンパク質を構成しているアミノ酸は、コドンという暗号をもとに作られ、それをまとめた表をコドン表と呼ぶ
- 1つのアミノ酸に対して複数のコドンが当てられる場合がある
- コドン表は、全ての生物に当てはまり、このことはセントラルドグマが全ての生物に共通していることに由来している