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DNAとは何か? どのような構造をしているのか?

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ニュースなどでも当たり前のように耳にするようになったDNA。

今回は、DNAとは何か、遺伝子も意識しながら改めて分かりやすく解説しようと思う。

生物系、医療系のニュースや書籍などを見たときの知識として、助けになってくれたら光栄です。

 

 

目次

 

DNAとは?

DNAとは、デオキシリボ核酸(Doexyribo Nucleic Acid)という物質の略称で、遺伝子の本体でもある。

 

DNAの構造は、ヌクレオチドと呼ばれるものが鎖のように繋がり、このヌクレオチドでできた鎖状のものが2本、らせん状に絡まることで1つの長いDNAとなっている。

 

↓以下の図のようなイメージ。DNAと言えばこのイメージだよね。

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DNAはどこにある?

そんなDNAが存在しているのは生物の細胞の中の核という場所。

下図でいうと紫のヒモ状のやつ。

 

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人間の細胞の大きさは20μm(マイクロメートル)で、その中の核が直径6μm

 

このようなミクロの世界にDNAは存在しているわけだが、実はDNAは一続きに存在しているわけではない

いくつかに断片化にされ、さらにその断片がさらに折りたたまった形で核の中に収納されているのだ。

 

DNAは核内ではバラバラになっているんだね!

 

そして、この断片化されたDNAを全て繋げると、なんと2mの長さになる。

1mmにも満たない細胞、核の中に2mのDNAが収納されているのである!

 

DNAの構造

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DNAは全体で見れば一本の鎖状に見えるけれども、よく拡大して見てみると、小さな基礎のようなものが無数に繋がっている。

この、DNAの鎖を作る基礎となるものをヌクレオチドという。

 

鉄のチェーンだって、楕円形のものが無数に繋がってできていたりするよね!

 

ヌクレオチドデオキシリボースというの一種にリン酸塩基が結合しているという構造である。

また、塩基とは一般的にアルカリ性の性質をもっている物質のことである。

DNAは、リン酸という酸性の部分と、塩基というアルカリ性両方の物質を含んでいるのだ。

※DNAはアルカリ性の物質を含んではいますが、デオキシリボ核""と言うように、DNAが水に溶けると水は酸性になります

 

このヌクレオチドがリン酸と糖の部分で以下のように無数に繋がり、まるで1本の鎖のようなものを形成している。

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二重らせん構造

DNAの基本的な構造は上記の通りだが、ここまでではまだ二重らせん構造にはなっていない。

DNAが二重らせん構造を作る際に重要なのが先ほどちらっと述べた塩基である。

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塩基にはいくつかの種類があり、DNAには4種類の塩基が含まれる。

それはアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4つで、それぞれの頭文字をとってA、T、G、Cと省略して呼び、この塩基の並びを塩基配列という。

DNAでは、この4種の塩基がバラバラに並んでいるのである。

 

1本の鎖状となったヌクレオチドは、塩基部分で別のヌクレオチドの鎖とまた結合し、対になる

そしてこの結合の仕方には法則があり、AはT、GはCと必ず結合する

ちなみに結合するときには、お互いの向きは逆方向になっている。

 

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この塩基同士で対になったものを塩基対と言い、1塩基対、2塩基対・・・と数える。

だから例えば上図の塩基対数は4つである。

 

人間の体の塩基対は全部で30億対と言われているよ!

 

※ちなみに参考ですが、大腸菌の塩基対は460万ショウジョウバエが1億8000万小麦が170億となっています。塩基対が多い=生物が複雑というわけではないみたいですね。

 

さらに最後に、この対になって結合したものがねじれてらせん状になり、私たちにおなじみの二重らせん構造のDNAの形になる。

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※ちなみにこの二重らせん構造は、ワトソン、クリックらによって発表され、時は1953年、戦後のことである。


 コラム:DNAの塩基

DNAに関する塩基は4種あるが、AはT、CはGと必ず結合するため、全ての生物の細胞内において、AとT、GとCの存在比はそれぞれ等しくなる

例えばAが20個あるのにTが19個あったり21個あったりすることはなく、必ず同数である。

 

ただし、あくまでAとTが同数、GとCが同数なのであって、例えばある生物はAとTを100個ずつ、CとGを50個ずつ・・・ 、またある生物は逆にAとTを50個ずつ、CとGを100個ずつ・・・という場合もあり得る。

 

つまり、同数でも内訳は生物によって違うんだね!

 

遺伝子とDNA

ここまで、DNAはどういうものか、どこに存在しているのか、どういった構造をしているのかを説明してきた。

では、最後に簡単に遺伝子について説明する。

 

遺伝子は親から子に受け継がれ、生物の形質(性質)を決定するものだが、遺伝子はDNA上にある

イメージとしては、DNA上にちらほらと点在している

 

遺伝子の正体(本体)がDNAと言われるのもこれが理由である。

全ての生物はこの遺伝子を元に、タンパク質を作る

そしてこのタンパク質が酵素を作り、生物の細胞を作り、具体的な体を作っていく

 

↓以下の記事も参考にしてください

inarikue.hatenablog.com

 

inarikue.hatenablog.com

 

まとめ

 

  • DNAの構造は、ヌクレオチドでできた鎖状のものが2本、らせん状に絡まることで作られている

 

  • DNAは生物の細胞の中の核という場所の中に収納されている

 

  • DNAは全てを繋げると2mを超える長さの物質だが、核内では断片化され、さらに折りたたまれてかなり小さくなって収納されている

 

  • DNAの基礎となるヌクレオチドは糖とリン酸と塩基が結合した物質である

 

  • DNAの塩基には4種類あり、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)である

 

  • ヌクレオチドでできた鎖状のものは塩基部分で結合し、対になり、それがらせん状にねじれてDNAの構造になる

 

  • 塩基部分の結合には法則があり、AはT、CはGと必ず結合する

 

  • 遺伝子はDNA上に点在する形で存在しており、これを元にタンパク質が作られる。