体液は体の中でどのような役割をしているか?
私たち人間を含め、生物の体内の環境(体温、血圧、体液濃度など)は常に一定を保たれている。
そして、それが乱れたとしても、生物は自己の体内環境を一定に保とうとする。
今回はそういった体内環境の維持に重要な役割を果たす体液について簡単に見ていこう。
目次
恒常性と代謝
生物が生物であるための条件に、恒常性の維持と代謝がある。
恒常性はホメオスタシスとも言い、恒常性を維持する=外の環境の変化に対して体内環境を一定に保つという意味である。
ではなぜ生物は恒常性を維持しなければならないのかというと、それは代謝のためである。
代謝とは、生物が生きていくために体内で起こすあらゆる化学反応のことだ。
外の環境の変化によって、体内の環境がいちいち変化してしまうと、代謝が安定的に行えないからである。
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体液
生物の恒常性の維持に大きく貢献しているのは体液だ。
体の中心で作られた熱や摂取した栄養分など、生きるために必要な様々な物が体液によって全身のいたるところに運ばれる。
つまり、体液が体中を循環することによって体内の環境が一定に保たれるし、恒常性の維持において体液は非常に重要である。
そして体液は、それが存在する場所によっていくつかの種類がある。
体液の種類
生物の体の中を流れる体液は、大きく分けて3種類ある。
その3種とは、血液、組織液、リンパ液である。
矢印は体液の流れる方向を示し、橙色をした丸っこいものは体内の細胞である。
体液は、血管を流れる血液から始まり、組織液、そしてリンパ液になっていく。
血液
見たことがない人はいないであろう、血管の中を流れる赤色の体液。
赤血球などを含み、体中に養分や酸素など、様々なものを運搬している。
ところで、血液は100%液体ではなく、内訳は55%が液体成分、45%が固体成分である。
また性質は弱アルカリ性で、血液の量は体重の13分の1の重さである。
例えば体重65キロの人であれば、その人の血液量はだいたい5リットルだよ!
血液の成分
では血液の成分を具体的に見ていこう。
血液は先述の通り、55%が液体成分、45%が個体成分で構成されている。
ここでいう液体成分とは血しょうのことで、固体成分は血球のことである。
血しょう・・・栄養分や老廃物、タンパク質などを運搬する液体。
血球・・・赤血球、白血球、血小板の3種類がある。
組織液
毛細血管を通る血液が血圧によって血管外に押し出され、細胞などの組織の周りを満たすように染み出る。
このような体液を組織液という。
全身の細胞はこの組織液に浸った状態で存在しているのだ。
ところで毛細血管とは動脈や静脈以外の、全身に張り巡らされている極めて細い血管のことである。
この毛細血管にはごく小さな穴が空いており、血圧によって血液が勢いよく流れると、その穴を通り抜けられる小さな成分(血しょう)が穴から流れ出る。
これが組織液になるのである。
※赤血球は大きすぎて通り抜けられない。
組織液は細胞などの組織の周りを満たすとともに、細胞内でできた老廃物を受け取ったり、逆に細胞に養分を運んで来たりしている。
細胞は組織液を介して血液に養分や老廃物を送ったり、もらったりしているんだね!
ちなみに人間の体内に含まれる組織液は11リットルにもなる。
リンパ液
リンパ管という管を流れる体液で、その正体は組織液の一部ががリンパ管に入ったもの。
リンパ液はよく「液」を省略して「リンパ」と呼ばれることも多い。
リンパ液は全身のどこの血管から外に出た組織液を取り込んだかによって、成分などが異なることが特徴である。
例えば小腸から取り込んだリンパ液の場合、脂肪分を運搬する役割を担う。
また、リンパ液が通るリンパ管は開始地点が閉じられていて、入口がどこの組織とも繋がっていない。
そのためリンパ管には血管と異なり、心臓のような液体を押し出してくれる強力なポンプがなく、ゆっくりと流れている。
こういった特性から、リンパ管では圧力が弱く、リンパ管から外に液体が漏れることはない。
また、圧力の弱さにより逆流しないように管内には逆流防止の弁もついている。
リンパ管は終点は鎖骨下にある静脈につながっているので、最終的に合流して中のリンパ液も血中に戻ることで循環している。
まとめ
- 生物は外の環境の変化に対して体内の環境を一定に保とうとし、それには体液が重要な役割をしている
- 体液には血液、組織液、リンパ液の3種類がある
- 血液は液体成分である血しょうを55%、固体成分である血球を45%の割合で含み、完全な液体ではない
- 血球にはさらに赤血球、白血球、血小板の3種類ある
- 血液の成分(血しょう)が毛細血管の穴からしみ出し、細胞などの組織の周囲を満たすものを組織液という
- 組織液は細胞内でできた老廃物を受け取ったり、逆に細胞に養分を運んで来たりしている
- 組織液の一部がリンパ管に入ったものをリンパ液という
- リンパ液は全身のどこの血管から外に出た組織液を取り込んだかによって、成分が異なる
- リンパ液が流れるリンパ管は鎖骨の下あたりにある静脈に繋がっており、リンパ液は最終的に血液に合流する