生物の分類の"ドメイン"と"界"ってなに? 細菌と古細菌の違いとは?
今回は、生物の「ドメイン」と「界」という分類について解説していく。
目次
「ドメイン」という分類
ドメインとは、全ての生物を3つのグループに分けて考えたときの分類名である。
ドメインは生物の分類において最上位(最も大雑把)の分類である。
3つのグループは「細菌ドメイン」、「古細菌ドメイン」、「真核生物ドメイン」とそれぞれ名付けられている。
例えばヒトはドメインで考えると、真核生物ドメインに分類されるってことだね。
細菌・古細菌ドメインと原核生物界
ドメインとは全ての生物を細菌ドメイン、古細菌ドメイン、真核生物ドメインという3つのグループに分ける考え方である。
重要なのは細菌ドメイン、古細菌ドメインに分類される生物は、全て五界の一つである原核生物界に分類されているということだ。
つまり、細菌ドメインや古細菌ドメインの生物って全て原核生物なんだね。
細菌ドメイン
細菌ドメインの生物たちは、地球の誕生以来、初めて出現した生物たちのグループである。
彼らから生命が始まったのである。
細菌ドメインに所属する生物を大きく分けると次の通りである。
バクテリアとは私たちがよく知る細菌類のことである。
具体的な生物例としては、乳酸菌や大腸菌などの病原菌、硫黄細菌、紅色硫黄細菌がいる。
古細菌ドメイン
古細菌は分類名に"細菌"とついているが、先ほど解説した細菌類とは全く別の生物たちである。
このドメインに属する生物もまた、細菌ドメインと同様に原核生物である。
具体的な生物として、メタン菌や好熱菌がいる。
メタン菌。JAMSTEC | 海洋研究開発機構 | ジャムステック(http://www.jamstec.go.jp/gallery/j/organism/micro/001.html)より引用。
古細菌は、海底などの極限環境に棲息しているものが多い。
私たちがよく知る細菌は、熱に弱く煮沸したりすると死んでしまうが、古細菌の生物たちの中には100度以上の高温に耐えられるものなどがいる。
細菌ドメインに属する生物と古細菌ドメインに属する生物の違い
※少し専門的な話になります。
細菌ドメインと古細菌ドメインは、ドメイン名だけ聞くと似ているが、これらに所属する生物は、体の構造に違いがある。
例えば、細胞壁の有無やDNAにおけるヒストン・イントロンの有無ある。
細菌ドメインの生物は細胞壁を持ち、DNAにおいてヒストンとイントロンは持たない。
一方で古細菌ドメインの生物は細胞壁を持たないが、DNAにおいてヒストンとイントロンを持っているのだ。
真核生物ドメイン
我々人間を含めた多くの生物が属する真核生物のグループ。
下記で解説する五界のうち、原核生物界以外の生物たちは全てこのグループに属している。
植物もキノコも魚も真核生物ドメインに属しているよ!
「界」という分類
「界」は、今度は生物を5つのグループに分ける分類だ。
また「界」はドメインで分けたグループをさらに細かく分類する考え方でもある。
界を使って分けると全ての生物は、「原核生物界」、「原生生物界」、「菌界」、「植物界」、「動物界」のどれか分けられる。
この分類は「5界説」などと呼ばれて学校で教えられたり、長い間広く一般的に受け入れられてきた分類だ。
原核生物界
原核生物という、細胞に核を持たない生物たちのグループ。人間も鳥も魚も、そしてその辺の雑草も細胞の中心に膜をもった核があり、その中にDNAを持っている。
しかし、原核生物は細胞に核がなく、DNAは細胞内でむき出しの状態にある。
原核生物界の生き物は主にバクテリア(細菌)類で、〇〇菌ような病原体もこのグループに分類される。
藍藻って水槽に発生したらかなり嫌なやつだよね・・・。
原生生物界
原核生物ではない生物で、かつ菌でも植物でも動物でもない生き物の寄せ集めのようなグループで、数も多い。
「植物のような特徴を持っているけれど、植物には分類できない」、「動物なんだけど、単細胞生物」など何らかの理由があってここに分類される。
アメーバ、ゾウリムシ、ミドリムシ、ミズカビなどが所属。
魚の病気でも水カビ病ってあるよね。そのミズカビだよ!
菌界
キノコやカビの仲間のグループ。
チーズなんかを作るときに必要な酵母もここに分類されている。
キノコは植物じゃないよ! あと菌と細菌も全く違うよ!
植物界
世間一般で言われる植物たちのグループ。
動物界
言わずもがな我々人間も含む動物たちのグループ。
鳥も魚も、海にいるウニやヒトデもここに所属している。
まとめ
- 界はドメインをさらに細かく分類し、生物を5つに分類する。
- 界には原核生物界、原生生物界、菌界、植物界、動物界がある。
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