3ヶ月ぶりの底物報告 2019.03.01 底物水槽レポート
我が家のメイン水槽であり、しかもかなり安定している、コリドラス中心の底物水槽。
前回の底物水槽レポートから2か月以上が経過してしまいましたが、今日はそんな久々の底物レポート。
前回はコチラ
目次
現在の水景と変遷
前回から現在まで、水槽全体の水景の変遷を見ていきましょう。
多分あまり変わらないと思いますが笑
2019年1月3日
1月14日
2月2日
2月20日
現在 3月1日
水草のトリミングや生体の追加は全然していません。
しかし3月1日の換水の際にミクロソリウム付き流木の位置を若干ずらしています。
写真では・・・分かりにくいですね;
モスの台頭
厚みもあり、綺麗に展開しつつあるモス。
流木付きミクロがでかすぎて気付かない間にこっそり成長していました。
このモス、実は活着させた記憶がなく、立ち上げ当初は欠片が水中を浮遊して彷徨っている状態でした。
きっと何かの拍子に流木か何かにひっかかり、ここまで成長したのでしょう。
いやいや、本当にすごい。
モスって綺麗に成長させるのが結構難しいと言われています。
茶色くなってきたなくなったり、水槽のいたるところに活着して邪魔になったり。
モスは生命力は強いので、断片がどこかに引っかかればそこに活着して増えます笑
あと、魚の卵のようなものを大発見!?
色々調べてみたのですが、どうやらコリドラスの卵っぽい!
・・・と思ったのですが、次の日には消えてました。
この水槽にはステルバイ、青、ベネズエラオレンジ、トリリネアータスがいるのですが、一体どの種類でしょうか・・・。
一応エレガンスもいるのですが、まだ体が小さく未成熟だと思われるので、その線はないかなと。
植物ぶっこみ水槽?
実はこの水槽、他の水槽で調子を崩したりした水草を適当にぶっ込んでいるので、半水草ストック水槽半コリドラス水槽と化しています笑
ミクロソリウム
この水槽をメインに飾る陰性水草です。
ミクロソリウムはとにかく丈夫で、陰性水草でもあることから入門種として薦められることが多いですが、シダ病というシダ系植物に見られる病気によくかかります。
この水槽は立ち上げて3年余経過しており、ミクロソリウムはその当初から植えているので、すっかり水槽に適応し、かなり繁茂しています。
途中、シダ病やらブツブツ病やらにかかったことはあるのですが、基本は放置してました笑
最近は換水のときに調子の悪そうな葉を見つけてはなるべく切り落とすようにしています。
マツモ
日淡水槽に入れていたものを移植。
どうやら私はマツモの扱いが下手らしく、すぐ溶かしてしまいます。
マツモは強靭な水草で、一部では神などと呼ばれることもありますが、私はその神を何度もこの手にかけてきました。
この水槽に導入して3か月くらい経過しましたが、増えてはおらず、むしろ若干萎縮気味かな?と感じます。
ちなみに写真を見るとマツモが赤くなっています。
私はこれがとても綺麗だと感じ、当初は感心して眺めていたのですが、どうやら栄養不足のサインだそうです。
この水槽はコケもほとんど生えないので、おそらく栄養は豊富ではないでしょう。
ガガブタ
これはまだ水中葉の状態で、何れ浮き草を展開するようになります。
この株はつい最近、日淡水槽から引っ越しさせました。
1か月ほど前にこの水草の存在を知り、45センチの熱帯魚水槽に試験的に導入してみたところ、自分の好みに超ドストライクでした。
45センチ水槽では立派な浮葉を展開して、むしろ45センチ水槽では手狭で持て余している感があるので、60ワイドサイズの水槽ではどうなるのか非常に楽しみです。
ピグミーチェーン・サジタリア
立ち上げ当初から植えている古参種です。
私の中で5本の指に入るくらい強靭な水草だと思います。
1枚目の写真を見てください、若干浮きながらも根を張ってます笑
特に追肥もしていないのですが、ランナーを伸ばして砂地を草原に変えようとしています。
この水槽は活着型の陰性水草と浮き草系しかないので、根を張る植物にはニッチがあるのかもしれません笑
とはいっても、肥料もないですし、マツモが栄養不足のサインを出しているくらいですから、ニッチがあったとしても栄養面で厳しそうです。
・・・それでもゆっくり増え続けているのですが笑
生体たち
さて、お待ちかね(?)の生体たちです。
生体たちはほとんど変化がありません。
数の変化は、新入りはなしで、ニューギニアレインボーのメスが1匹落ちました。
コリドラスたち
最近白コリが気になってます!笑
導入しようか検討中。
エレガンス
エレガンスはダルマみたいに太ったのが1匹と、時期をずらして導入したチビが3匹の計4匹がいます。
てか1匹目のやつガチで太りすぎなんだよなあ・・・笑
チビたちは3匹とも徐々に大きくなってます。
チビとデカが並ぶとその大きさがよく分かります。
撮影難易度はなぜかチビたちのほうが低いです笑
デカいのはどこか死角に良い隠れ家を見つけたのか、餌の時間帯以外滅多に見かけません。
あと、エレガンスはよく遊泳するコリドラスと言われますが、我が家ではほとんど遊泳しません。
あのデカい個体は体型的に泳げなさそうなのは分かるのですが、チビたちも全然泳ぎません。
エレガンスのふわふわと水中を漂うようにして泳ぐ姿が好きで飼い始めたので、そこだけは少し残念です笑
小型カラシンなどを入れれば遊泳するのでしょうか?
ステルバイ
この子たちも撮影難易度が高いです。
結構なビビりで、水槽に近づくと一目散に逃げてしまいます。
軽くパニックになって飛び出しなどをされても困るので、餌やりや撮影の際は色々と気を付けています。
パレアトゥス(青コリ)
我が家のコリの中で一番撮らせてくれるのが青コリたち。
ビビりではあるけれど、餌なしでも結構撮れる。
今のところ前述の卵を生んだのは青コリ説あり。
トリリネアータス
2匹いますが、結構出てきてくれます。
青コリと同じくらいか、それよりもむしろ撮影しやすいかもしれません。
2匹ともいたって健康!
なので書くこともあまりなし笑
ベネズエラオレンジ
この水槽にはベネズエラオレンジが2匹いて、1匹は上記のようにオレンジっぽいのですが、もう1匹は真っ黒。
すごい渋い色をしていて、とてもお気に入りの個体なのだが・・・
彼ら、非常にビビりで、餌のときでさえ警戒するので撮影難易度が非常に高い・・・。
カメラなしでただ観察するのも一苦労です。
立ち上げ当初からいる古参なのですが、飼い始めからずっとこうです。
水槽の中で半野生化でもしているのでしょうか。
トランスルーセント・グラスキャット
グラスキャットたちは古参で、立ち上げ当初からのメンバーです。
その中でもこの個体は一番大きく、コリの倍近くあります笑
グラスキャットは透明に見えますが、光を反射して時折七色にギラギラ輝いているように見え、非常に美しいです。
このように美しさがあって、しかもこの水槽内では迫力も若干あるのですが、撮影難易度がかなり高いです笑
理由は奥の水草の陰で常に群れているため、餌のとき以外はまず出てきてくれないからです。
昼間は1か所でずっと群れています。
実は電気を消した夜間は普通に出てきて泳ぎまわっています。
本来は夜行性なのかもしれませんね。
ピグミー・グラミー
こうやって水草の陰に普段は隠れています。
青くメタリックに輝く部分が非常に美しいです。
隠れていますが、見つけやすく、あまりビビりというわけでもないので撮影難易度は普通です。
泳ぎもホバリングタイプなので、静止していることが多いですしね。
性格は大人しいですが、結構気が強い一面もあります。
ミナミヌマエビにちょっと興味があるみたいなので、もしかしたら稚エビを隠れて食べているかもしれません。
オトシンクルス
水槽には1匹のオトシンと1匹のネグロがいます。
オトシンは人口餌を覚え、餌の際など、撮影チャンスが結構あるのですが、問題はネグロ。
ほとんど出て来ず、何日も姿を見せないことがざらなので、水槽内の超レアキャラと化している。
我が家のオトシンは少々気が強く、餌を独占しようとします。
決定的な写真も撮れました。
例えばこうやって青コリに噛み付いたりして追い払うのです。
餌の時以外は全く無関心で、しかもオトシンは大人しい魚と言われているのでこれはとても興味深いですね。
終わりに
今回は植物とメインである底生魚を中心に紹介してきました。
この水槽には他に、上層を泳ぐエクエスペンシルや、ニューギニアレインボーがいます。
彼らについて語るとまた長くなってしまうので、この辺で一度締めくくろうと思います笑
水槽レポートは1か月に1度のペースをちゃんと守っていきたいので、この底物水槽は次は今月末か4月入ってすぐに報告します。
次回は今回詳しく語れなかったエクエスペンシルとニューギニアレインボーについてたっぷり語りたいと思います。
あと、写真撮影が困難な黒タイプのベネズエラオレンジとかね・・・。
それに、今コリドラスを1~2匹か、何か生体をほんの数匹増やそうと考えているので、話題は他にもありそうです。
では、今回もありがとうございました。
生物多様性とは何か?
地球上に生命が誕生したのは今から約38億年前。
そこから現在に至るまで、気の遠くなるような長い時間をかけて、生命は様々な種に分かれて進化し、多様な生態系を作り出してきた。
今回は、昨今かなり耳にするようになったであろう生物多様性について書いていく。
目次
生物多様性とは?
生物多様性とは、読んで字の如く"生物が多種多様であること"である。
だが、これはただ単に生物が沢山いればよいというわけではない。
ここでの「多様性」という言葉にはいくつかの意味が含まれているのだ。
3つの"多様性"から構成
生物多様性には全部で3つの「多様性」の意味を含む。
その3つとは「種の多様性」、「遺伝的多様性」、「生態系多様性」である。
そしてこれら3つの多様性が相互に影響し合い、全ての生物の多様性が維持されている。
種の多様性
種の多様性とは、様々な種の生物が混在していることである。
例えば、ある森の中を想像してほしい。
その森の中には様々な木や草などの植物が茂り、昆虫やそれを食べる鳥類、小型の哺乳類、そして場合によってはデカい熊やイノシシに遭遇するかもしれない。
1つの地域に1種の生物ではなく、1つの地域に植物から動物まで様々な生物が混在していることが種の多様性である。
遺伝的多様性
遺伝的多様性とは、たとえ同種の生物であっても、遺伝子に差異(バリエーション)があることである。
例えばある病原菌Aにとても弱い生物がいたとして、それらが全てクローンだったらどうなるだろうか。
クローンなので遺伝子は全く同じである。
当然、病原菌Aを原因とする病気が流行すれば、たちまちのうちにその生物はクローンもろとも死滅してしまうだろう。
しかし、ここで別の遺伝子をもった生物がいると・・・
このように、外部から何らかの影響を受けたり、変化があったときに、同じ種でも異なる遺伝子を持っていれば、全滅を避けたり、ある程度の対応ができる。
遺伝的多様性が確保されることで、結果的に種の多様性の確保に繋がるのである。
生態系多様性
生態系多様性とは、様々な生態系が存在することである。
※写真は奥入瀬渓流
例えば陸地には森林や草原、砂漠など、様々な生態系があったりする。
さらに生態系は水の中にだって存在する。
様々な生態系に様々な生物が集まり、時には異なる生態系にいた同種の生物同士が出会い、子孫を残す。
すると、まだこれまでに考えられなかったような遺伝子の組み合わせが生まれることになる。
生態系が多様であることが、遺伝的多様性に一役買い、そして種の多様性の確保に繋がっていく。
生物が多様になる過程
まず、全く同一の遺伝子を持ったネズミが複数匹、ある生態系の中(森林)にいたとする。
※写真はハリネズミですが、今回はただの何の特徴もないネズミだとします笑
自然界で生活していく中で、紫外線などによって、一部に様々な突然変異が起こる。
すると、今までは同一だった遺伝子にバリエーションが生まれる。
※色は遺伝子のパターンを表してます。
遺伝子は多様になったが、自然界で暮らす以上様々な環境変動にさらされる。
例えば寒さにやられたり、病原菌に侵されたり、災害に遭ったりなどである。
すると、その変動に適応できなかった遺伝子の個体は死滅してしまう。
無事環境に適応し、生き残ったものたちは、それぞれの遺伝子を持った個体ごとに集団を作ったり、外敵などに追いやられたりして移動し、分断が起こる。
こうして完全に分断されてしまった種は、もはや混じり合うことはなく、長い年月をかけて同種から異種(別種)になっていく。
分断され別の集団となっても、上記のことが繰り返され、多様な生物が生まれていく。
青で示した遺伝子をもったネズミは草原に生息するようになるかもしれないし、ピンクで示したものは人間の住宅街に侵入するかもしれない。
多様になった生物は自分達にとって住み心地の良い場所、都合のよい場所に移動していく。
多様性と攪乱
自然界では様々な変動などにさらされるが、生態系を破壊し、生態系に大きな影響を与える変化を攪乱(かくらん)という。
攪乱の例は台風、火山の噴火、河川氾濫などの主に災害である。
災害と聞くとマイナスなイメージだが、むしろ、適度な攪乱は生態系を多様にする。
例えば、サンゴ礁は台風を受け、一部が破壊されたり、風で水がかき混ぜられることによって生育する種が豊富になることが知られている。
サンゴ礁は、台風が全くないと逆に大打撃を受けるよ!
もちろん、あまりにも大規模すぎる撹乱や、短期間に攪乱が繰り返された場合では生態系が根こそぎ破壊され、種の絶滅をもたらしてしまうことがある。
一過性で、かつ中程度の攪乱は生物の多様性に大きく寄与するのである。
人為撹乱
人為撹乱は、人による攪乱である。
例えば過度な森林の伐採や乱獲、過放牧などである。
通常攪乱は台風などの一過性のものであるため、短期間に繰り返されることはあまりない。
しかし、人為撹乱は短期間に繰り返され、その攪乱の規模も過度なものだったりすることで問題なることが多い。
現在の環境問題は、いき過ぎた人為撹乱が原因になっているところもあるね。
人為撹乱と里山
人間による攪乱は実は悪いばかりではない。
人為撹乱が生物多様性に貢献する例もあるのだ。
その例が里山である。
こうした田園風景は日本人にとってなじみのあるものだ。
里山は、木ばかりだった山を切り拓き、水田や畑などを作ったものである。
もちろん、里山のための開拓は、スタートは森林を伐採するところから始まるので、良くない人為撹乱では?と思いがちだ。
しかし、本来水がなかった場所に水を引き、水棲の生態系を作ったり、雑木林ができたり、雑草を抜いてみたり、そして何よりも人間がその生態系を適度に維持してくれる。
こうして本来は森林しかなかったところに、思いがけない生態系や生物群が現れ、生物多様性が高くなるのである。
度を超していなければ、全ての人為撹乱が悪いというわけではないんだね。
まとめ
- 生物多様性とは、ただ単に生物が沢山いるという意味ではなく、「種が多様」、「遺伝子が多様」、「生態系が多様」という意味である
- 生物は突然変異や種の分断を始め、自然界で様々なものにさらされて多様になっていく
- 生態系を破壊したり、影響を与える災害などを特に攪乱と呼び、適度な攪乱はむしろ生態系を豊かにする
日淡魚を飼うために最低限必要な設備道具まとめ!
目次
初めに
今回は、飼育に必要な「設備や道具」について詳述しています。
日本の沼や川で採れる魚の飼育で、必要最低限知っておくべきことをまとめてみた。
これからそういった生き物を飼育してみたいという方にも、大いに参考になれば良いと思う。
私は長いこと川魚を飼育しているが、その飼育経験の中で考えたり、得た情報をここで共有・発信できたらいいと思い、今回の記事を書いてみました。
立ち上げの前に
水槽を立ち上げたり、買い物をする前に、自分はどの生き物をどのように飼いたいのか頭の中で整理しておこう。
上記のように自分が飼育したいものとその環境をしっかりと整理してから採集なり買い物なりをしよう。
そうすれば無駄な出費などが抑えられるはず。
飼育にほぼ必須なもの
- 水槽
- ろ過装置
- 底床(砂利など)※
- エアレーション※
- ヒーター※
- 水槽用クーラー※
- 照明※
- カルキ抜き
※印のものは場合によって必須ではないので、後述で説明していきます。
水槽選び
まずは、よく使われる水槽の規格と水量をまとめてみた。
※90センチスリム水槽はGEXのマリーナスリム90cm MR-13Biの数値です。
※飼育数は1リットルにつき1センチの魚を飼育したときの目安です。
※水量は内寸を考慮し、水位をMAXから数センチ下げたときの値なのでより正確な値だと思います。
大きい水槽にするメリットとしては、水量が多くなればなるほど、水温や水質の急変が起こりにくくなること。
大量に換水したとかなら別だけど・・・。
しかし、当然ながら大きい水槽は空の状態でも重量がかなり重くなってくる。
90センチクラスになるとおそらく一人で持つのがかなりきついor人によっては応援を呼ばなきゃいけなくなる。
どの水槽を選ぶかは自分の財布と、飼いたい魚、水槽を設置できるスペースなどと相談して慎重に決めてほしい。
オススメは幅60センチ水槽
もし大型になる魚を飼育するわけでもなく、どの水槽にしようか迷ってしまったら、私は幅60センチの水槽をオススメする。
60センチ幅の水槽は周辺機材などが最も充実していて、扱いやすい。
60センチの水槽があればそこそこの数の魚も飼育できるので、60センチを選んで大失敗した!というケースはあまりないはず。
60センチワイドもオススメ
どうせ同じ60センチ幅の水槽を買うなら、60センチワイド水槽もオススメだ。
この水槽の魅力は何と言っても水量。
上記の図を見てもらえば分かると思うが、同じ幅60センチの水槽なのに奥行と高さが増えただけで水量が2倍近くになっている。
水量が2倍ということで、それだけ多くの魚を飼うこともできるし、多くの魚を飼わなかったとしても、ゆとりのあるスペースで飼育ができるだろう。
オールガラス水槽か、フレーム水槽か?
水槽にはフレームなしのオールガラス水槽と、黒いフレームがついたフレーム水槽がある。
どちらを選ぶかは完全に好みで大丈夫。
ちなみに、オールガラス水槽っていうのはこんなやつ
フレーム水槽はこれ
多分、水槽と言えば後者のフレーム水槽をイメージするor見たことがあるっていう人が多いんじゃないかな。
この2タイプの水槽の違いをまとめてみた。
オサレ度を重視するならオールガラス、お手頃で扱いやすいものがほしいならフレームって感じかな。
あと幅60センチくらいからオールガラス水槽は重量がかなり重くなってくる。
60ワイドのオールガラス水槽くらいになると、多分力に自信のない人は一人で持てなくなるので、設置のときは気をつけてね。
ろ過装置選び
ろ過装置選びも非常に重要だ。
ここではろ過装置の種類と、オススメのものを紹介していく。
単純に濾過能力が高いフィルターは上部フィルターと外部フィルターと底面フィルターの3つ。
生体のみ→どれでもOK
生体も入れて水草も育てたい!→外部
がオススメかな。
上部フィルター
水槽の上に濾過槽とポンプを乗せて使うフィルター。
水を水槽内から上の濾過槽にポンプで水を吸い上げて循環させる仕組み。
良い点
- 水槽の上に置くので、余計な場所をとらない
- 価格が安価なものが多く、コスパ高し
- 濾過の過程で酸素を供給でき、エアレーションが同時にできる
- 濾過槽が開けやすく、メンテナンスが楽
- 底床の制限がない
ちょっと気になる点
- 濾過槽を流れる水の音が気になる人がいる(私は全く気にならない)
- 水槽の上部を占領するので照明を置く場所が制限され、水草育成がしにくくなる場合がある
- フレームなしのオールガラス水槽に設置する場合、工夫が必要
個人的な使用感など
個人的に上部フィルターでオススメなのが、GEXのグランデカスタムというやつ。
これは濾過槽が2段になっていて、値段も3000〜4000円で買え、コスパが良い。
さらに、カスタマイズ性が高く、自分のお気に入りのろ材を詰めたり、段を増やしたり、色々改造できる。
もちろん、改造しなくても付属のろ材などで十分に濾過能力を発揮してくれる。
デメリットは、水を吸い上げるポンプの耐久性に難があること。
外部フィルター
濾過槽にろ材を詰め込んで密閉し、本体を水槽の横や下に置いて使うフィルター。
濾過能力は上部とどっこいどっこいだが、特に水草の育成と相性の良いフィルター。
良い点
- 密閉されているため、水の音がほとんどしない(ほぼ無音)ので静か
- 置く場所が自由に選べるため、置き方次第でろ過装置を見えなくすることもでるし、水槽周りをスッキリさせることができる
- 水槽の上部スペースを自由に使えるため、照明の設置の自由度が高い
- 密閉されているため、水中の二酸化炭素(植物の生育に重要)を逃しにくい
- 底床の制限がない
気になる点
- 上部フィルターと比べると高価(8000円前後)
- 密閉されたろ過装置を開けるのにやや手間がかかるため、メンテナンスが億劫になる。
個人的な使用感など
外部フィルターを買うならエーハイムというメーカーが出しているものが王道。
私は上記のエーハイム500を愛用している(安いから笑)。
エーハイムのフィルターを買うときはHZ(ヘルツ)に注意してね。
外部フィルターは水草向けのフィルターと言われているけれど、もちろん生体のみの飼育で使っても全く問題ないし、静音であることや、水槽周りをスッキリ片付けられることから、非常にインテリア性にも優れている良いフィルターだと思う。
底面フィルター
水槽の底に専用のタイルを敷き、その上にいつも通りに砂利などを敷いてろ過する。
エアポンプを利用して底から水を吸い上げ、排出口から排水するというエアリフト式という方法で循環させる。
使い方そのものはシンプルなのだが、使いこなすには少々知識が要るろ過方法。
良い点
- 水槽の底面が濾過槽になるため、水槽外に場所をとらない
- コスパが良く、価格も上部フィルターと同じかそれより安い
- 大磯砂との相性が抜群
気になる点
- 一度設置したら取り出すのが困難(水槽全体を洗うような大掃除レベルのときでない限り取り出さない)
- ろ過の性質上ベアタンクでの使用には適さない
- 底床に敷くものが制限される(ソイルや砂は相性が悪かったり工夫が必要)
- 底床など、使いこなすにはある程度の知識が必要
- 相性の良い水草が限られる
オススメ
底面フィルターを買うならば、ニッソーというメーカーのバイオフィルターってやつか、GEXというメーカーのマルチベースフィルターが王道。
底面フィルターは使用する底床が制限されたり、水草も制限されたり、少々知識のいるフィルターだけれど、コスパも濾過能力も高いフィルターである。
熱帯魚ショップを見てみると、底面フィルターを使っているところが多いのも頷けるはず。
他のフィルターと直結したりもできるみたいだし、やっぱり使いこなすには少し勉強が必要かも。
外掛けフィルター
ろ過装置本体を水槽の任意の場所に引っかけて使用する。
これ単体では濾過能力が足りなくなるため、サブフィルターとしての運用か生体がほとんどいない水草水槽での運用を考えたい。
良い点
- 安価
- 水草水槽と相性が良い
- 底床に制限がない
気になる点
- これ1台では濾過能力に不安が残る
- 水槽の後方に引っかける場合、水槽と壁との距離に注意
個人的な使用感など
外掛けフィルターはサブフィルターか、臨時の水槽、生態がほとんどいない水草ストック水槽などで真価を発揮できるだろう。
私は45センチの水槽で、外部ろ過装置のサブとしてGEXの外掛けフィルターを使用している。
外掛けろ過器は汚れて中が詰まってきたり、通水が悪くなると流量の低下が露骨に見られ、濾過能力も著しく低下するのでメンテナンスの頻度はちょっと多いかも。
水中フィルター
水槽の一角に水中ポンプを設置し、ろ過を行う。
こちらも外掛けフィルター同様、サブフィルターとしての運用が現実的だと思う。
あと、水中フィルターは動力源となるポンプを水没させるため、ポンプの発熱が水温を若干上昇させてしまうというデメリットがある。
特に夏場などは高水温を助長してしまうので取り扱いには十分注意してほしい。
投げ込みフィルター
ろ過装置を水中に設置し、外からエアレーションを行うことでろ過する方法。
投げ込みフィルターの大きな魅力の一つとして、エアレーションと濾過を同時に行えることがある。
上記の水作エイトはろ過装置界隈では"神"と言われているとか何とか笑
意外と濾過能力が高く、サブフィルターとして優秀である上に、隔離水槽など様々な面で使う事が出きる。
水槽にただ投げ込むだけで設置完了なので、非常に小回りが利くフィルターともいえるだろう。
1個あると意外に便利だったりする。
底砂選び
底砂は、基本的には見た目などで気に入ったものを選んでくれてかまわない。
だけれども、飼育する魚やろ過装置、水草を育てる場合など、状況によっては不適切な底砂も出てくる。
砂か、砂利か?
以下を参考にして、砂と大磯砂(砂利)を使い分けてみてね。
砂を問題なく使用できる環境とメリット
- 底面フィルターを使用していない
- 根を張らない水草(流木などに活着するコケ類やシダ類)を育成したいとき
- 砂に潜る習性のある魚を飼育すればもぐってくれる
- 砂を漁る魚のユニークな仕草などが観察できる
大磯砂をおすすめする環境とメリット
- 底面フィルターを使用している
- 根を張る水草を育成したいとき
- 砂より重いので、ホースで爽快に掃除ができる
※底面フィルターで砂を使う場合。
設置の時、底面フィルターのタイルを敷いたあとに100均などで購入できる洗濯ネットを切って被せ、その上に砂を敷く。砂が吸い込まれないようにカバーすると砂でも一応使えるようになる。
田砂
こんな感じのパッケージの砂。
- 価格: 1200 円
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綺麗なクリーム色をした砂で、特に底棲魚や砂に潜る習性がある生物の飼育にはド定番の底砂。
砂の中でもやや重めで、ホースを使った掃除のときに他の砂と比べても若干吸われにくい。
照明がコトブキのフラットLEDの水槽でこんな感じ。
我が家では川魚の底棲魚水槽だけではなく、熱帯の底棲魚の底砂にも使用している。
とりあえず底には砂を敷きたい!っていう人にはオススメ。
津軽プレミアム
パッケージではこんな感じの砂利。
実際に敷いてみると・・・
※照明はコトブキのフラットLED
結構茶色というか、黄土色みたいな感じになる(照明にもよる)。
見た目などで田砂と選択になると思うけど、重さは津軽のほうが重い。
だから田砂と比べてかなり掃除がしやすい。
大磯砂
こんな感じのいわゆる砂利。
大磯砂には砂利の細かさによって小粒、中粒、大粒がある。
※製品によってはスモールとかミディアムとか別の表現をされていることがある。
どれくらいの粒がいいのかというと、迷ったら中粒を買っておけば大丈夫。
もし水草に重点を置きたい!っていう人であれば小粒でもOK。
粒が小さくなるにつれ、植物が根を張りやすくなったり、通水性が落ちたりする。
小粒
中粒
あと大磯砂は、使用開始当初(特に新品のもの)は水の硬度を上げる(弱アルカリ性に傾ける)傾向がある。
魚によって好む水質が異なるので、大磯砂を使用する際は飼育する魚が好む水質をあらかじめしっかりと調べておこう。
ただ、大磯砂は使い続けていると徐々に水質に影響を与えなくなる。
これは大磯砂に混ざっているサンゴの欠片など(硬度を上げる要因)が溶け切ってしまうからである。
何年も使いこんだ大磯砂は、水質に影響を与えず、しかもろ過バクテリアが定着しやすい万能の底床となる。
ソイルについて
専門店やホームセンターの魚コーナーに行くと、ソイルという茶色や黒の丸っこい土の塊のようなものが底床として売られている。
これは上述の通り栄養土の塊(土壌)で、特に水草生育に適している。
ソイルには砂や砂利と違って寿命があり、数年使っていると形が崩れてきて、最悪泥状になる。
川魚水槽にソイルを使うことはNGではないが、水草をガッツリ育成したい人でない限り、特に使用するメリットはないように思われる。
さらにソイルは水の硬度を下げる(弱酸性に傾ける)性質があるので、飼育する魚が好む水質をよく調べてから使用すること。
あと、フナ類やコイ類は餌を食べる際、底の砂利や砂ごと一旦口に含んで餌だけを飲みこみ、それ以外は吐き出すという習性があるため、ソイルをすぐダメにしてしまう可能性が高いので、フナやコイの飼育を考える人はソイル使用はやめておこう。
エアレーション
いわゆる水槽内で泡を出す"ブクブク"。
これをやる理由は水槽内への酸素供給と水面の油膜の排除。
水槽内での魚を高密度で飼育したり、大きな魚を飼育する際に必須になってくる。
魚などを飼育していると水面に何か油のような膜が張ることがあり、これが油膜。
油膜自体はバクテリアなどの死骸からできており、有毒なものではない。
ただ、何か気持ち悪いという人はエアレーションをして水面を揺らしたりすると消えてくれる。
酸素供給目的の場合、上部フィルターや投げ込みフィルターを入れているならわざわざエアレーションを単体で導入する必要性は薄いが、夏場は要注意。
水にとけこむ酸素の量は水温が上昇するに伴い、減少する。
つまり、夏場は酸欠が起こりやすいのでたとえ上部フィルターなどがあっても、一時的にエアレーションを別におこなう必要が出てくることがある。
とりあえず、普段やっていない人でも夏場だけはやっておくと安心。
ヒーター
日本の川魚などは寒さには耐えられるため、必ずしも導入する必要はない。
ただし、小さな水槽で飼育している人は要注意。
季節の変わり目で昼夜の寒暖差がでかくなる時期や、冷暖房が入るリビングなどに水槽を置いていて、人の有無で室温が大きく変化するなどの環境で飼育している場合は気を付けてほしい。
水温の変化が激しくなると病気になりやすくなるので(特に白点病)。
小さな水槽であればあるほど、外気温に伴う水温の変化がもろに起こる。
川魚にわざわざヒーターを導入するメリットは、そうした急激な水温の変化を軽減することにある。
ヒーターには温度設定が自由にできるタイプと、特定の温度固定型のものがあるが、私はいつも温度設定が自由にできるタイプを使用している。
水槽用クーラー
水温を温めるヒーターがあるように、冷やすためのクーラーもある。
水槽用のクーラーや冷却ファンは基本的にはイワナなどの渓流魚やニホンザリガニなどの冷水に生息する生物の飼育に使う。
これらの生物を飼育する際は夏場のクーラーが必須になる。
照明
照明は必須ではないけれど、水槽内がずっと暗いままでは魚の観察もしにくいし、あると水槽が全然変わって見える。
照明自体は何でもかまわない。
最近は蛍光灯よりもLEDが主流。
私はとりあえず安価なLEDで、コトブキというメーカーのフラットLEDってやつにしてます笑
水草をしっかり育てたい場合、水草育成向けライトなどを買ったり、照明を2つにして光量をかせぐことができる。
ただし安易に光量を増やすとものすごい勢いで水槽にコケが生えて景観を損ねるので、特にこだわりがなければW数などを気にせず安価なやつで大丈夫。
その他
その他、あったほうがよいもの、あると便利な物をまとめてみた。
あったほうが良いもの
- カルキ抜き(あったほうが良いというより必須)
- 魚の病気治療薬
- 予備水槽
- 予備ヒーター
- 水温計
- バケツ
- ポリタンク
- 金魚網
- プロホース(お掃除ホース)
カルキ抜き
水道水には塩素などが入っているため、それを中和するために必須。
カルキ抜きと書いてあれば基本どれでも大丈夫。
病気治療薬
メチレンブルーとグリーンFゴールドの2つは常備しておくと良い。
前者は魚がよくかかる白点病の薬で、後者はエロモナス病という厄介な病気の薬。
予備水槽
病気になった魚、いじめられてケガをした魚の隔離水槽や、稚魚用、野生で採集した個体のトリートメントタンクなど、様々な用途が期待できるので、45センチくらいの水槽をスペアで持っておくと安心。
予備ヒーター
ヒーターはある日突然故障するときがあるため、または病気の魚の治療のためにストックしておくと大変便利。
特に魚の病気によっては"〇〇℃以上の水温を保つと良い"などがあるため、温度を任意に設定できるタイプのヒーターを1つもっているだけでもアクシデントへの対応の早さが変わってくる。
水温計
あると水温が分かって便利。
バケツとポリタンク
100均で8~10リットルのものを2~3個もっておけば大丈夫。
ポリタンクは特に大型水槽で大量に水替えする人用。
私は20リットルポリタンクをホームセンターで買い、60センチワイド水槽の水換えのときに使用している。
金魚網
水槽の魚を捕まえる網。
魚を捕まえるときはかなりすばしっこいのでできるだけ水位を下げて行うこと。
まさか手で捕まえようとする職人はおらんよな・・・?
プロホース
川魚飼育に限らずお魚飼育者であればほとんどの人が持っているであろうお掃除用具。
これがあると底砂の掃除が効率的にできる。
小型水槽にはSサイズ、60センチ水槽にはMかLサイズで大丈夫。
底の掃除を怠ると特に底棲魚が病気になったりして大変なことになる。
餌の話
餌は川魚の餌と書いてあるものならばだいたい大丈夫だと思う。
餌は飼育する魚によるので、例えば雑食性の魚(フナやタナゴ)に関して言えば
- 数種類のもの(色々なもの)を与える
- 植物系のエサ:動物系のエサを4:1くらいで与える
ということを意識して餌やりをしている。
肉食系の魚であれば動物系の餌や生きた小魚を与えればいいし、草食性が強い魚であれば植物系のエサを与えたり、アナカリスやマツモといった水草を入れておくだけで餌になるし、場合によっては水槽内に生えてくる藻類をつまむことだってある。
具体的な餌に関しては、以下の記事の日淡編を参考にしてみてね。
生物は群れをどうやって統率するの? 魚の群れにリーダーはいるの?
生物の中には大なり小なりの群れを作り、敵から身を守ったりするものがいる。
しかし一口に群れといってもその統率形態には微妙な違いがあったりする。
今回は、生物の群れの順位制とリーダー制(独裁制)について学ぼう。
目次
群れにはリーダーがいる?
哺乳類の群れ、鳥類の群れ、魚類の群れなど、様々な動物が群れを作るが、その群れを統率しているのは誰だろうか。
結論からいうと、リーダーは必ずしもいるわけではない。
特にリーダーがいないのではと考えられているのが↓のような群れを作る魚類。
ライオンの群れであればリーダーは一番強いオスのライオンということになるが、群れのリーダーを見分けるのって意外と大変だったりする。
例えばハトやニワトリの群れなんて見てもみんな姿が同じで、誰が誰だか分かったもんじゃない。
おそらく同士では区別がついているのかもしれないけれど、人間の目から見れば全てが同じに見える。
※群れとしては、外から見て全て同じように見えていれば外敵の目を攪乱するという意味では成功である。
群れの統率
生物は群れを作り、そして統率をする。
なぜ統率するのかというと、群れがきちんと統率されれば、群れを大きくしつつ中での争いも少なくすることができるからである。
群れの中で順位や強さが上の個体から順番に食物にありつき、繁殖も順番に行うのだ。
前回の記事の最後に、生物は群れの大きさを工夫して調整すると述べた。
統率は群れを発展させるための工夫なのである。
ところで、群れを統率する方法は生物によって異なる。
魚類のようにリーダーがそもそもいない群れのパターンもあれば、ある一匹が絶対的なリーダーとして君臨する群れもある。
順位制
順位制は、群れの構成員一匹一匹に順位をつける統率方法。
単純に言ってしまえば、30匹いれば1位~30位まで各個体に順位がつく。
順位制は主に鳥類に見られる群れの統率法で、好例がニワトリ。
例えばニワトリにおける順位制では、「他のニワトリに突かれた回数」によって順位が決まる。
上の順位の個体は下の順位の個体を全て突くのだ。
つまり順位が1位の個体は誰にも突かれず、自分以外の個体を全て突き、2位の個体は1位以外全ての個体を突く。
最下位の個体にいたっては全ての個体から突かれる。
いつかニワトリの群れを見る機会があったときは、やたら他の仲間から突かれている個体がいるか、逆に全く突かれてない個体がいるか、観察してみよう。
※順位制では同順位の個体が複数存在することがある。1位が2匹いる場合もいれば、互いを突きあって三角関係を形成する個体もいる。笑
リーダー制
群れの中に絶対的な1位個体が存在することが特徴で、その個体が群れを統率する。
猿や鹿、ライオンなどの哺乳類の群れによく見られるタイプの統率法である。
絶対的な1位だけが決まっており、あとの構成員は順位が関係ない(1位以外はあとは同順位)場合が多い。
両者の違い
ここで、順位制とリーダー制の違いをはっきりさせておこう。
両者の違いは、1位である個体が誰なのかを把握しているかどうかの違いである。
順位制 ・・・一匹一匹全ての個体に優劣となる順位がある。
リーダー制・・・絶対的な1位だけが決まっており、それ以下の個体の順位は同順位。さらに、群れの構成員全てがその1匹を認識している。
実はリーダー制においては1位の個体が誰なのかを群れの全ての仲間が把握しているのに対し、順位制では1位の個体が誰なのかを全員が把握しているわけではないのである。
え?1位が分からないなら餌や交尾のときに喧嘩になるんじゃない?
ここで面白いのが、例えばニワトリは自分が何番目なのか、具体的な自分の順位を把握しているわけではないのだ。
ニワトリは順位が異なる者同士が対面すると、順位が低いものがその場から逃げたり、順位の高いものに餌や道を譲ったりする。
これを繰り返すと、最終的に順位が最も高いものが餌を先に食べたり、道を進むことができるという仕組みだ。
あくまで対面した相手の順位が自分より高いか低いかの判定しかできないってことだね。
まとめ
- 生物は群れを作るものがいるが、魚など、群れにリーダーがいないものもいる
- 群れの統率方法には順位制とリーダー制がある
- 順位制では群れの個体全てに1位から順位がつく
- リーダー制は群れの1匹が絶対的な1位として君臨し、それ以下の個体は同順位である
- 順位制をとるニワトリの群れの順位は、突かれた回数で決まる
参考文献
伊勢武史/著 『学んでみると生態学はおもしろい』 ベレ出版
D・サダヴァ他/著 『大学生物学の教科書』第5巻 講談社
飼育、生育密度によって生物の体は変わる?
例えば水槽にたくさんの魚を入れて高密度に飼育した経験がある人はいるだろう。
ある生物集団が高密度で生活している状況は自然界でもありうる。
そして驚くべきことに、高密度で生育すると同じ種であるのに全く別の姿に変異してしまう生物もいる。
目次
生物は無限には増えない
理論上では、生物は「外敵がいない」、「餌が豊富」、「広い空間」という環境に置かれたとき、個体数は時間の経過とともに指数関数的に無限に増えていく。
しかし現実は厳しく、生物はある程度までは繁殖で増えるが、食料や生活空間の不足、環境の悪化(特に衛生面)により、無限に数を増すわけではない。
これは森の中であれ、池の中であれ、水槽の中であれ、それぞれの環境にはそれに応じた収容力があり、それを超えて生物は増えることができないことを意味する。
今述べた収容力とは正式には環境収容力と言い、その環境自体の広さと、存在する餌の量によってだいたい決まる。
この水槽なら何匹まで飼える?っていうのも収容力だよね。水槽であれば、濾過能力を強化したり、単純に水槽サイズをアップすることでより多くの魚を飼育できる(収容力が上がる)ね。
高密度に生物が置かれると・・・
アクアリウムで魚などの過密飼育をしたことがある方なら実感があるだろう。
高密度に生物が置かれると、成長などに阻害が見られることがある。
- 出生率の低下
- 死亡率の増加
- 成長の遅延
- 奇形の発生
- 病気の蔓延
などである。
人間が管理し、飼育しようとする場合には高密度での飼育や生育が起こりやすいのだが、自然界でもこのような状況はありえる。
ある生物が大量発生したときなどがそうである。
生物は高密度で飼育したり、自然界で高密度で集団生活していたりすると、姿や特性に若干の変異が見られることがある。
そして生物によってはその変異が顕著にあらわれるものがおり、高密度で生育すると元の姿とは全然違った姿や特性を持つようになる生物がいる。
バッタの変異
高密度になると見た目や特性が変異してしまう生物の好例がバッタである。
表にまとめてみたが、バッタは生育密度によって、自らの体色から卵に至るまで、様々な変異が起こるのである。
ではなぜこのように変異してしまうのか。
変異の理由は?
高密度で生育するバッタたちにとって一番の問題は餌である。
バッタは草が主食だが、さすがに何百匹もいたらすぐに周囲の草を食べつくしてしまう。
ある場所の餌を食いつくしてはまた別の餌場に頻繁に移動(何十kmも移動することがある)するので、高密度で生育するバッタは移動能力が非常に高い。
だから飛んで移動するための翅は発達して長くなるし、あまり使わない後ろの肢は軽量化のためもあって小さくなる。
ところで、軽量化を考えると高密度下のバッタのほうが脂肪含有量が多い傾向にあるのはちょっと不思議に思う方もいるだろう。
これは長距離移動に備え、体にエネルギーを蓄えなければならないからである。
今度は卵の数と大きさを考えてみよう。
低密度生育のバッタはそもそも食糧などに余裕があり、1つ1つの卵を小さくして沢山産むことができる。
一方で高密度のほうは常に餌不足に悩まされるため、卵を多く産むことができない。
その代り、一つ一つの卵にあるだけの栄養をもたせて大きな卵を生む。
高密度の中で生まれれば、生後すぐに餌不足に悩まされる可能性があるだろうし、卵からたっぷり栄養を受け継いでおいたほうがいいね。
植物の変異
密度による変異は、動物だけではなく植物にも見られる。
同じ面積の畑に隙間なく種をまいた場合と、まばらに種をまいた場合などで変異が観察されることがある。
植物の場合はイメージしやすいだろう。
まばらに種をまくとその分植物は大きくなって沢山の実をつける。
一方で高い密度で種をまくと植物1つ1つは小さくなり、なる実の大きさも小さくなる。
しかしここで面白いことがある。
植物の場合、どの密度で生育しようが、同じ面積あたりで収穫できる量は一定になるのである(最終収量一定の法則)。
まとめ
- 生物は餌や生活空間、環境などによって制限を受けるため、無限に生殖して増えるわけではない
- 生物の中には生育密度によって体つきなどが大きく変異するものがいる
- 中でもバッタは顕著で体色から卵の数まで大きく変異する
- 植物においても密度による変異が見られるが、同じ面積で収穫できる量は密度に関係なく一定になる
窒素も生態系を循環している?
以前に、有機物(炭素)が生態系内を循環していること説明した。
しかし、生態系を循環するものは炭素だけではない。
例えば窒素なんかも循環をしている。
今回はそんな窒素の循環の話。
※こちらの記事も参考にどうぞ。
目次
重要な元素
窒素は生物の体にとって非常に重要な元素である。
生物の体内では核酸(DNAやRNA)やタンパク質を生成するために必須の元素である。
また、植物が成長に必要とする3元素は窒素とリン、カリウムであり、窒素はあらゆる生物の成長に欠かせない元素である。
生物の体の外では、主に窒素は大気の成分の80%を占める気体として存在する。
しかし、ほとんどの生物が窒素をそのまま利用できない。
生きるのに必要な元素がこれだけ周りにあるのにも関わらず、ほとんどの生物は自力で利用できないのである。
細菌類の活躍
大多数の生物は外にある窒素をそのまま利用できない。
そのため、生物たちにとって窒素を利用可能な形に変換する必要がある。
この変換作業を窒素固定という。
窒素固定をやってくれているのが、アゾトバクター、クロストリジウム、根粒菌などの細菌や、ネンジュモというシアノバクテリアの一種である。
彼らは主に土壌中にいるよ!
土壌に窒素固定された窒素は、その後、亜硝酸菌や硝酸菌といった別の細菌たちによって、窒素は硝酸イオンとなる。
土壌から生産者へ
生産者(植物)は窒素が硝酸イオンになって初めて根から吸収する。
生産者たちは自身の酵素を使って硝酸イオンをまた変化させていく。
すると、最終的に硝酸イオンは有機窒素化合物(タンパク質)になる。
こうしてできた有機窒素化合物は食物連鎖を通して、消費者や分解者に移動していく。
戻るには?
ここまでは、大気中の窒素が土壌に蓄積され、生物の体に取り込まれるまでの話。
窒素は循環しているので、ここから戻る必要がある。
ではどのように戻るのかというと、戻るのは生産者や消費者、分解者が死んだ時などである。
生物が死ぬとアンモニウム塩などの窒素化合物ができる。
この窒素化合物から窒素を取り出し、大気中に戻しているのが脱窒素細菌と呼ばれる細菌である。
さっきから細菌が大活躍だね!
コラム~根粒菌とマメ科の植物
窒素固定をできる細菌の例として、根粒菌を挙げた。
実はこの根粒菌は、ちょっと面白い特性を持っている。
根粒菌とは?
クローバーの根粒
身近な理科室 根粒ってなに?より引用 http://www2.tokai.or.jp/seed/seed/mijika10.htm
根粒菌とは、その名の通り根粒を作る細菌であり、根粒は根粒菌の集合体である。
マメ科の植物などを根から掘り起こした経験がある人は、根に何かゴツゴツしたコブのようなものが沢山ついているのを見たことがないだろうか。
あれが根粒である。
そして窒素固定により窒素を植物が利用可能な形になったものを直接宿主に与え、逆に自身は当該植物が光合成で得た有機物をもらうという相利共生関係を築いている。
※相利共生・・・お互いが得をする共生関係。
するとその場合は窒素固定をせずに、宿主の植物から有機物をただ奪うだけの寄生生物と化す。
マメ科の植物と共生したときにしか窒素固定しないんだね。
有機物は生態系内をどう循環するの?
有機物とは、糖やタンパク質、脂肪など炭素からなる物質のことである。
有機物は生産者(植物)の光合成などによりできるが、では作られた有機物は生物の体をどう移動するのだろうか。
今回は、生態系内での物質の移動を見ていこう。
目次
有機物の移動
植物が光合成をしたとき、草食動物が植物を食べたとき、肉食動物が草食動物を食べたとき、生きるためのエネルギーとなる有機物はどうなるのだろうか。
摂取した量が全て自身の成長やそのとき生きるために使われるのだろうか。
ここでは、そういった有機物の流れを見ていこう。
※あくまで生態系全体の話である。
生産者の有機物の流れ
生産者は自ら有機物を作ることができる。
そのため、生産者から見ていこう。
現存量とは、その生物自身が元々持っている有機物の量である。
では、ここで光合成をしたとすると、以下のようになる。
光合成によって結構な量の有機物が生まれたわけだが、これが全て生産者自身にものになるわけではない。
まず、合成された有機物の中から今自分自身が生きるために使われる(呼吸量)。
そしてここで思い出してほしいのが、今話しているのはある生態系内での全体の生産者の話。
つまり何割かは枯れたり、その他事情で死んでしまう(枯死量)
さらに、消費者によって食べられてしまうものも出てくる。
するとこれだけが残り、自身が成長するためにまわすことができる(成長量)。
結構合成しても、自分たちのの成長に当てられるのはわずかだね。
消費者の有機物の流れ
では、消費者はどうだろうか。
消費者は生産者を食べることで有機物を得るので、下図からスタートする。
生産者における被食量が、消費者の摂食量である。
摂食量とは、あくまで消費者が"口に入れた量"であり、何割かは不消化のまま排出されたり、純粋に排泄にまわる。
あとは生産者のときと考え方は同じである。
今生きるために必要な呼吸量、何割かは死亡、そして高次の消費者による捕食(被食量)。
残ったものが自身の成長にまわせる量である。
分解者は?
分解者には生産者たちの枯死量、消費者たちの不消化排出量、死亡量が餌として回ってくる。
このようにして、始めに生産者によってできた有機物は上位の生物の体へと移動していく。
炭素循環
生物を構成する物質の一つである炭素は、炭水化物や脂肪といった形で生物の体内に存在する。
一方、生物の体外、自然環境内では、特に二酸化炭素という形で大気中に存在する。
つまり炭素は、生物とその外の環境を循環している。
まず大気中の炭素(二酸化炭素)が生産者によって取り込まれる。
生産者は一次消費者に食われ、一次消費者もまた二次消費者に食われ、炭素は生物の体内を移動していく。
ここまででは外の環境に存在していた炭素が生物の中に取り込まれただけである。
循環するためには戻る必要がある。
生物たちは呼吸をする。
この呼吸によって二酸化炭素が体の外に放出され、大気に戻るという循環が発生する。
これにより、全体の炭素の総量は一定に保たれる。
ちなみに、呼吸の総量は生産者や消費者よりも分解者たちが圧倒的に多い。
生物の体に取り込まれた炭素を再び外に戻しているのは主に分解者たちだと言っても過言ではない。
分解者自身が死ぬと?
分解者は生産者や消費者の遺骸などを餌としているが、分解者自身にも当然死はある。
簡単に説明すると、死んだ分解者は土に堆積する。
分解者たちも餌などで有機物(炭素)を得ており、長い時間をかけて多くの分解者が堆積する。
これが化石燃料である。
化石燃料の正体は死んで堆積した生物たち(分解者)だったんだね!だから化石燃料を燃やすと二酸化炭素が出るのか!
生態系とは何か? 食物連鎖とは?キーストーン種とは?
近ごろ、生物多様性や自然保護に関する多くの言葉やニュースが耳に入るようになってきた。
環境問題に対しては一人一人が高い意識を持つ必要がある。
少々聞きなれない用語も出てくるが、今後覚えていても損はないので簡単に説明する。
では、生態系について少し学んでみよう。
目次
生態系とは?
生態系とは、ある地域に生息する全ての生物と、それを取り巻く環境のまとまりである。
生態系は、生物と、生物ではない環境(光や土壌、温度など)で構成されている。
そして生物とその周囲の環境は、お互いがお互いに影響を与え合っている。
例えば草食動物が草を食べ、排泄する場合など様々である。
生物だけが生態系じゃないんだね。
生態系の構成生物
生態系を構成する生物は、有機物を得る方法の違いによって大きく3種類に分けることができる。
①生産者
無機物から有機物を合成することができる生物たち。主に植物。
②消費者
生産者を食べることによって有機物を得る生物たち。
特に消費者の中でも直接生産者(植物)を食べる生物を一次消費者といい、一次消費者を捕食することにより、間接的に生産者を食べる生物を二次消費者という。
一次消費者は草食動物で、二次消費者は肉食動物にあたるね!
③分解者
生産者と消費者の遺骸や排泄物から有機物を得る生物たち。ミミズや菌類などが該当。
生態ピラミッド
これは誰もが見たことのあるであろう生態ピラミッドの簡略版である。
生態系の生物たちの個体数などを生産者から縦に並べると一般的にピラミッド状になる。
理由は、生産者→消費者と段階が上がるにつれて、生物の個体数や、体に含まれる有機物の量が減少するからである。
※生態系のピラミッドは必ずしも普通のピラミッド型になるわけではなく、逆ピラミッド型のような例外も存在する。
食物連鎖と食物綱
食物連鎖は、ある生物の食う・食われるの関係を一本の直線的な繋がりとして考える概念である。
以下は、一例であり、タカが最上位となる。
カエルはクモを食べ、ヘビがカエルを食べ、最終的にタカがヘビを食べる。
しかし、現実には上図のように1種の生物が1種の生物を食べるor食べられることは少なく、複数種の生物を食べたり、食べられることが多い。
例えば上記の食物連鎖ではカエルを食べる生物はヘビとしたが、ネズミや鳥などもカエルを餌として食べることがありえる。
つまり、生物同士の繋がりとは単純な一本線で表されるものではなく、もっと複雑である。
このように、生物同士の食う・食われるの繋がりを網目状に示したものを食物綱という。
食物綱は近年では食物連鎖以上に重要視されている。
キーストーン種
ある地域の生態系の食物連鎖や食物綱において、「この生物がいなくなると生態系の全体のバランスが崩れてしまう」というキーパーソン的な、超重要な種がいる。
これをキーストーン種と呼ぶ。
キーストーン種は食物連鎖や食物綱では上位に位置する生物が該当する。
例えばある海の生態系を考えてみよう。
ジャイアントケルプっていうのはこんなやつ。
ジャイアントケルプは巨大な海藻で、長さは40mを超えるものまであるという。
ジャイアントケルプは海の中に密林を作り、これが小魚などの重要な隠れ家となる。
そのため、ジャイアントケルプ周囲には多様な生物が育まれる。
しかし、これを食べてしまう生物も存在する。
ウニはこの植物の天敵である。
そしてそのウニを好物としているのがラッコである。
ここの生態系におけるキーストーン種は最上位のラッコである。
ラッコは乱獲や海洋汚染などにより絶滅危惧種となっており、もしラッコが絶滅したらどうなるだろうか。
当然天敵がいなくなったウニが増え、ジャイアントケルプを食べ尽くすだろう。
ジャイアントケルプがなくなれば、そこを隠れ家などにしている多数の生物の居場所はなくなってしまう。
※ジャイアントケルプは海底の岩などに根をおろしているが、この根元をウニが噛みちぎることがある。すると、何十メートルもあるジャイアントケルプが当然流される。たとえウニが植物の全てを食べ尽くさなくても、一瞬にして多数の生物たちのすみかが失われるのである。
ただ、ここで一つ勘違いしてほしくないのは、ウニは決して悪者ではなく、ただ生を全うしているだけであるということ。
食物連鎖を乱しているのはわれわれ人間である。
ある地域の生態系を考える際には、その地域のキーストーン種となる生物はどれなのかを明らかにし、保全していくことが非常に重要なのである。
まとめ
・生態系とは「生物+その生物たちを取り巻く環境」である
・生態系を構成する生物は有機物を得る方法の違いにより生産者、消費者、分解者の3種に分けることができる
・ある生物の食べる&食べられる関係を一本の直線的な鎖で表す考え方を食物連鎖という
・それに対し、複数の生物同士が食べる&食べられる関係を網目状に表したものを食物綱(しょくもつこう)と言い、近年では食物連鎖よりも重要視されつつある
・ある地域の生態系において食物連鎖や食物綱の上位に位置し、なくてはならない種をキーストーン種という
・その地域内の生態系のキーストーン種を見定め、保全を考えていくことが重要である